長田ノオト「実験王」(1994年6月30日初版発行)

 収録作品

・「探偵漫画 実験王」
「私立探偵の江戸川乱砂と助手の鳩山カノン。
 二人は南方という男性から呼ばれ、その邸を訪れる。
 南方は「実験王」より一人娘の恵を誘拐するとの予告状を受け取っていた。
 「実験王」は先日も一人の少年を誘拐した悪党で、犯行の指定時刻は本日の正午から日没まで。
 乱砂は非番の警官を四人呼んで、玄関を固め、二階の書斎には、恵、秘書の佐々木、江戸川乱砂の三人、そして、書斎の外には南方が陣取る。
 邸の背後は海に面した断崖絶壁で、これなら、たとえ実験王でも侵入は容易ではないと思われた。
 だが、警官の一人が腕を撃たれ、江戸川乱砂が様子を見に行った隙に、恵と秘書の佐々木は姿を消す。
 実は、実験王は、佐々木がトイレに行った隙に、彼に変装していたのであった。
 実験王にさらわれた恵の運命は…?
 そして、実験王の目的とは…?」

・「探偵漫画 実験王 怪奇!!少女島:第一章 探索」
「鳩山カノンは山本春子という少女から江戸川乱砂探偵に会わせてと頼まれる。
 彼女の姉、山本むつみ(15歳)は三日前から行方不明で、実験王の関与が疑われていた。
 だが、江戸川乱砂は今、新潟に出張のため、戸山ヶ原小学校探偵部(鳩山カノン、陽一、学の三人)は独自に調査を開始。
 カノンの変装をした陽一が、むつみが通った道を調べていると、物陰から美少女の死体が投げ出される。
 死体の少女はむつみらしく、怪しい男が死体を抱えて、倉庫の中に入って行く。
 皆に知らせる余裕はなく、陽一は男を尾行するが、逆に幽閉されてしまう。
 そこに江戸川探偵が現われ、二人で部屋を調べると、誘拐されたむつみが水槽の中で踊っていた。
 そして、怪しい男の正体は、実験王の助手、月彦であった。
 これで一件落着かと思いきや…」

・「探偵漫画 実験王 怪奇!!少女島:第ニ章 潜入」
「実験王の本拠地、少女島。
 ここは「気象変動装置」により様々な季節の下で、人魚少女、蛾少女、妖精少女といった改造少女たちの棲む「理想郷」であった。
 実験王によれば、カノンの存在によって「少女島」は完璧となるというのだが…。
 その頃、陽一の残した暗号文を見て、カノンと学は人力飛行機で少女島に向かいつつあった…」

・「探偵漫画 実験王 怪奇!!少女島:第三章 危機」
「月彦は実験王を父親として慕う。
 彼は、死んだ15歳の少女から取り出された卵子と実験王の精子を結合させ、人工用水の中で一年間、育てられ、この世に出たのであった。
 だが、実験王の愛情は鳩山カノンにのみ向けられており、月彦は嫉妬に苦しむ。
 そんな折、陽一をカノンと間違えてさらってしまったことで、実験王から折檻を受ける。
 更に、陽一に逃げられ、月彦は彼を必死に追うのだが…。
 その頃、カノンと学は少女島に潜入していた。
 洞窟を進むと、そこには幾つもの怪物の死体が…」

・「探偵漫画 実験王 怪奇!!少女島:終章 脱出」
「月彦はカノンへの嫉妬をむき出しにして、その顔を「オキシジェン・デストロイヤー」に浸けようとする。
 学はカノンを助けようとするも、そこに実験王が現われ、人質に取られてしまう。
 一方の陽一は「気象変動制御室」に逃げ込み、気象変動装置をめちゃくちゃに破壊する。
 カノン達、そして、少女島の運命は…?」

 「少年幻想ロマネスク奇譚」の副題のある、長田ノオト先生の代表作の一つです。
 内容的には、江戸川乱歩の「少年探偵団」と「パノラマ島奇譚」、そして、「モロー博士の島」(?)からの影響を強く感じます。
 後に、本編にサイド・ストーリーを二編加えて、蒼コミックス(蒼馬社)から出ておりますが、マイコミックスはA5判ですので、こちらの方が読みやすさは上です。(カラー・ページも2ページあります。)

2023年8月8日 ページ作成・執筆

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