月宮よしと「怪談油地獄」(190円/1964年頃?)
「享保の頃(1716〜1736)、大坂本天満町の油屋河内屋の次男、与兵ヱは、継父の徳兵ヱが番頭上がりであることに付け込んで、放蕩無頼の不良漢に育つ。
ある日、通りで掴み合いの喧嘩をしているところ、野崎参りの途中の殿様の衣服に泥をかけてしまう。
殿様に仕えていたのは、高槻の叔父の森右エ門で、首を討たれるところを、殿様の計らいにより、下向の時まで待つ、と言われる。
その場から逃げ出した与兵ヱは、河内屋で女中をしていた、お吉と出会う。
与兵ヱは彼女に惚れていたが、彼女は彼を嫌い、番頭の七左ヱ門と夫婦になり、上町に分家の店を持っていた。
親切なお吉に、与兵ヱは一緒に逃げてくれる迫っていたところに、七左ヱ門が現れ、与兵ヱに真人間になってくれるよう乞う。
与兵ヱにはもちろん、馬耳東風で、その場から立ち去るが、下向途中の殿様の一行に出くわしてしまう。
次こそは命はないと思いきや、殿様の許しを得て、与兵ヱは九死に一生を得る。
しかし、この件が、河内屋の両親に知らされ、大問題となる。
更に、与兵ヱは叔父の名を騙って金をだまし取ろうとしたり、妹の加持祈祷に来た山伏に乱暴を働いたりと全く反省の色なし。
遂には、実の母親にまで暴力を振るい、勘当の身となる。
数日後、五月四日の夜、与兵ヱは、借金の返済に迫られ、七左ヱ門夫婦が営む油屋を訪れようとする。
亭主の七左ヱ門は、掛け金の回収に出かけ、家にはお吉とその子供のみ。
そこへ、与兵ヱの両親が現れ、勘当したとは言え、節季に一文無しはつらかろうと、お吉に金を預ける。
両親が帰った後、与兵ヱはお吉にその金をもらい、更に、油の掛け金までも要求。
お吉は断り、それなら、油を借りて行こうと、与兵ヱとお吉は油の貯蔵庫へ入る。
そこで、与兵ヱは小刀でお吉を襲い、これを惨殺。
更には、帰宅した七左ヱ門も殺害する。
その頃、河内屋では、与兵ヱの両親が、森右エ門と、与兵ヱのことについて話していた。
そこに、お吉が訪れ、金を与兵ヱに渡したと言うのだが…」
近松門左衛門の人形浄瑠璃「女殺し油地獄」が原作です。(読んだことはありませんが…。)(注1)
大筋は、多少の変更はあるものの、原作に沿っているようですが、ラストに幽霊譚を付け加えております。
見所はやっぱり、10ページにも及ぶ、油まみれのお吉殺害シーンです。
・注1
小島剛夕先生も「女殺し油地獄」(「オール怪談・46」)をテーマに描いております。
他にも漫画化作品はあるのでしょうか?
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み。綴じ金あり。前後の遊び紙に補強(?)の紙。pp53・54、ほとんど欠損。前半部分に切れ、小欠損、汚れ、シミ多し。
2020年11月14日 ページ作成・執筆