月宮よしと「怪談牡丹燈籠」(190円)



「萩原新三郎は、親の遺産で生活に困らず、日がな一日、本ばかり読んでいる浪人。
 盂蘭盆会(うらぼんえ)に、友人で医者の山本志丈に誘われて、飯島家の一人娘の住む屋敷を訪れる。
 彼女は、お露という名で、継母と気が合わぬため、お米(よね)という女中と共に、別邸で暮らしていた。
 新三郎はお露の美しさに心を奪われるが、それから一月の間、彼女と会う機会に恵まれない。
 ある日、下男の伴蔵は、家にこもりっきりの新三郎を釣りに誘う。
 たまたま、お露の屋敷の近くだったので、新三郎は釣りに出るが、船上で、不吉な夢を見る。
 それは、新三郎とお露が会っている時に、彼女の父親が現れ、二人を斬殺するというものであった。
 夢から覚めた後、新三郎は、川べりで、夢の中でお露からもらった、香合(こうばこ)の蓋を見つける。
 その夜、お露とお米が、母親の墓参りの帰り道に、新三郎の家に寄る。
 二人は朝まで語り明かし、明け方、お露とお米は帰り、以来、毎夜、お露とお米は彼のもとを訪ねるようになる。
 だが、下男の伴蔵が不審に思い、家の中を覗くと、お露とお米の正体は死霊であった。
 白翁堂という占い師から真相を聞き、新三郎は、新幡随院の和尚に助けを求めるのだが…」

 「牡丹燈籠」と一口で言いましても、もとになった中国の「牡丹灯記」(「剪灯新話」収録)、それを翻案した、浅井了意の「牡丹燈籠」(「伽婢子(おとぎぼうこ)」収録)、そして、浅井了意版をもとにした初代三遊亭圓朝の怪談噺と、いろいろな種類があるようです。
 不勉強故、私には詳しい事はわかりませんが、月宮よしと先生の「牡丹燈籠」は、新三郎亡き後の伴蔵夫婦のエピソードがあることから、初代三遊亭圓朝のものに依っているのではないでしょうか。
 グーグルで調べたところ、落語の方は続きがまだまだ、あるようです。かなり長いんじゃないの、コレ。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け、また、痛みあり。糸綴じの穴あり。シミ、汚れ、切れ、多し。後ろの遊び紙に書き込みあり。

2019年8月23日 ページ作成・執筆

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