月宮よしと「生埋墓地」(200円)



「寛正年間(1460〜1466)。
 馬込綱四郎は、信濃国の守護職、望月左ェ門顕廉に仕えていた。
 ある夜、彼の屋敷に盗賊が押し入る。
 盗賊は蔵の次に母屋に侵入しようとするが、戸に開けた穴に手を突っ込んだところを綱四郎に取り押さえられる。
 盗賊は自らの腕を切断して逃走し、追ったものの、捕まえることができなかった。
 盗まれたものの中には、殿から預かった家宝の茶器が含まれており、綱四郎は追放となる。
 行くあてのない彼は、恋人の香晒(かざらし)と共に、彼女の故郷へ行くこととなる。
 彼女の故郷は大和国二上嶽にあり、洞九郎という名の父親が住んでいた。
 この洞九郎は腹黒い男で、金のある間だけ二人を置き、そのうちに、男は追い出し、娘は富豪の妾にでもして、余生を安楽に過ごそうと考える。
 洞九郎は狩りにも出かけず、家で酒を飲み暮らし、一方の綱四郎は金がなくなってからは内職をする。
 そのうちに、香晒は男児を産み、綱四郎は更に仕事に励むが、無理が祟り、病に倒れる。
 ある日、洞九郎が狩りで鹿を捕って帰る。
 だが、その鹿は春日神社の鹿で、洞九郎は捕縛されてしまう。
 香晒は父親の助命を乞うため、城に出向くが、その場に殿の土子京右介宗守が居合わせる。
 宗守は彼女に心を奪われ、洞九郎を呼び出すと、大金と引き換えに、娘を側女に望む。
 洞九郎は渡りに船と、香晒を殿のもとに連れて行き、金を持って逃亡。
 一方、綱四郎はそんなことは露知らず、幼い子供を抱いて途方に暮れていた。
 近所に住んでいた岩芝という女が子守を引き受けるが、彼女の商売は生き胆取りで、赤ん坊の内臓を奪って、これまた逃亡。
 綱四郎は香晒が殿の妾となり、また、子供が殺されたことを知って、怒り心頭。
 土子の館に単身殴り込みに行くのだが…」

 因果応報もので、踏んだり蹴ったりのストーリーがなかなか凄まじいです。
 そんなストーリーを、迫力のある絵柄でテンポよく読ませるのは、流石の一言。
 良作だと思います。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。小口に緑色塗り。前後の見返しのノドに紙テープでの補強あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2022年2月20日 ページ作成・執筆

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