いばら美喜「冥土のみやげ」(170円/1962年10月頃?)

「ある港町に寄港した際、紅達矢の船員仲間、林田研一は、故郷のC県R町へ帰ろうとしていた。
 そこへ、彼の弟が車で迎えに来るが、悪いニュースを携えていた。
 彼らの父親が経営する中華料理店と土地を、その地を牛耳る義血会が安値で売るよう脅迫していると言う。
 そこへ二人組の殺し屋が現れ、弟を射殺。
 達矢が一人は返り討ちにするものの、もう一人のヒゲの殺し屋には逃げられてしまう。
 とりあえず、達矢と研一がR町へと向かうと、ヒゲの殺し屋の車が後をつけてくる。
 殺し屋を生け捕りにして、詳しいことを聞き出すために、達矢は山の脇道に車を入れ、二人は茂みの中に身を隠す。
 だが、近くの洞窟には、人間を殺しては剥製にするのを趣味とする怪老人が住んでいた。
 老人の魔術により、身体が動かなくなり、達矢はピンチに陥るが、機転を利かせて、洞窟を崩壊させて脱出する。
 ヒゲの殺し屋にはまたもや逃げられ、まずは父親の中華料理店へと向かう。
 しかし、中華料理店には、研一の家族の姿はなく、住み込みのコックしかいない。
 コックによると、研一の妹、啓子が誘拐されてしまい、娘の命には代えられないと父親は土地の権利書を持って出かけたまま、帰ってこないと言う。
 達矢は単身、義血会に乗り込み、壊滅させる。
 だが、義血会のボスは林田父娘の誘拐には関係しておらず、白須という男に中華料理店の買収を任せていたらしい。
 しかも、その提示金額は、決して安くはなく、その土地に見合った金額であった。
 達矢が中華料理店に戻ると、コックは縛り上げられて、研一は殺されていた。
 研一の仇をとる為、達矢は、義血会のボスと白須が金の受け渡しをするエチレン塔に赴く。
 そこには、研一の妹の啓子がおり、近くの廃工場には父親の首吊り死体があった。
 啓子は父親はヒゲの男に殺されたと話し、達矢はそれが白須と察する。
 密会場所で、達矢は白須と対峙するが、彼の正体は…?」

 荒唐無稽な展開がサイコー!!な「紅達矢シリーズ」の七作目。
 この作品は(他作品と比較すると)割とおとなしめな「幽霊譚」…なワケがなく、何故か「人間を殺しては剥製にするキチガイ爺さん」が捩じ込まれております。
 読者サービスなのか、作者の趣味なのかどうかイマイチはっきりしませんが、どう考えても、登場する必然性がない…。
 また、このシリーズにはよくあることとして、主要な登場人物は結局、全滅しており、紅達矢の存在はあまり役に立っておりません。
 しかも、最後の最後で明かされる黒幕の正体が実にへっぽこなところも特筆に値します。
 でも、まあ…面白いからいいや。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、それによる歪みあり。小口研磨によりサイズ一回り小さい。糸綴じあり。シミ、小切れ、小欠損多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年4月20日 ページ作成・執筆

東京トップ社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る