いばら美喜「面よごし」(220円/1966年頃)



「自分の乗っていた、さくら丸が沈没してしまい、紅達矢は由美の属する金波サーカス団に加わることになる。
 だが、由美の恋人気取りのオートバイ曲芸人が達矢を毛嫌いし、確執が生まれてしまう。
 だが、その直後に、その曲芸人が河原で顔の皮を剥がされて殺される。
 このままでは自分に疑いがかかる為、紅達矢は聞き込みをしようと、川向こうの「お殿様」の邸を訪れる。
 「お殿様」とはこの地方を治めた加井田家の子孫であった。
 主人との面会は叶うが、彼は紅達矢が殺人事件の犯人と主張して譲らず、この地を早く離れるよう勧める。
 結局、銃で脅され、達矢はしぶしぶ了承。
 その時、達矢の目の前で、主人の娘の顔の皮膚がビリビリと裂けてしまう。
 実は、彼らの一族は、顔の皮が破れる病気が遺伝しており、よそ者を殺しては、その顔の皮を自分達に移植していたのであった。
 お殿様の一味はサーカス団のブランコ乗りの少女を誘拐、由美も共に捕まってしまう。
 拘束された達矢と由美の運命は…?」

 ハマー・フィルムの「吸血鬼ドラキュラ」と共に、日本の怪奇マンガに大影響を与えた「顔のない眼」(マジで必見!!)。
 もちろん、いばら美喜先生も例外ではなく、それがこの「ダメな奴」です。
 ただ、「顔のない眼」は凄惨かつ美麗な手術シーンが目玉の一つでありますが、「ダメな奴」の手術シーンは至極あっさりしてます。
 もっとグログロにやって欲しかったと思いつつも、この「現実感が稀薄」なところがいばら美喜先生の魅力でありますので、意見は分かれるところかもしれませんね。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、それによる本体の歪みあり。小口研磨によりサイズが一回り小さい。糸綴じあり。pp29・30、大きな裂けあり。pp39・40、上隅にコマにかかる欠損あり。後ろの遊び紙の裏に書き込みあり(文通しませんか、とのこと)。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。

2018年5月7日 ページ作成・執筆

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