月宮よしと「怪談残酷史」(190円/1963年頃?)
「飛騨の国の山中にある霞城。
永正九年(1511年)、霞城城主、佐孝道斉は、自分の命を狙った逆臣、内藤正章の両足、左腕、右腕と数か月にわたって、切断。
最後には、両目をえぐり、生きたまま、裏山の木にくくりつけ、カラスの餌食とする。
一年後、道斉は二人の男児に恵まれる。
一人は正室、諸の方の産んだ嫡子、松丸。
もう一人は、内藤正章の妹で、側女の浮美緒(ふみお)の方の梅丸であった。
道斉は梅丸を一目見て、内藤正章の記憶が甦り、心穏やかでない。
その夜、道斉は内藤正章の亡霊に悩まされ、翌日、正章の死骸が野ざらしにされている裏山へ出かける。
道斉は大きな岩で骨を打ち砕こうとするも、頭蓋骨から出てきた蛇を炎と見間違え、転倒、岩で圧死してしまう。
十五年後、松丸は霞城城主となっていた。
松丸は道斉に似て冷酷非情、一方の梅丸は賢明かつ沈着で、家臣からの人望も厚かった。
ある日、松丸は狩猟の際、家臣の放った矢が左目に刺さり、失明する。
視力の低下は右目にも及び、隣国との戦にて、めちゃくちゃな指揮をして、部隊は混乱する。
その最中、松丸が敵に左腕を切られたため、急遽、梅丸が指揮を執り、戦に快勝。
更には、宴の夜、松丸は寝床で左足を毒蛇に噛まれ、左足を切断する。
こういったことが重なり、松丸はますます凶暴性を濃くしていく。
一方、家臣達は梅丸を次期城主に望むが、梅丸は、松丸を立てて、決して首を縦に振ろうとはしなかった。
ある日、松丸は家臣の源左に娘の美代を所望する。
しかし、美代は梅丸の婚約者で、美代は松丸を忌み嫌うのだが…」
タイトルの通り、残酷描写のオンパレードです。(だからと言って、今時の漫画ほどは過激ではないです。)
内容は怪奇ものと言うより、残酷時代劇といった趣で、幽霊とかはあまり出てきません。
惜しむらくは、ラストで今までのことは梅丸の策略だったのかどうかはっきりせず、読後、モヤモヤが残ります。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー、少し痛み。鉄釘にて綴じ。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込みあり。
2022年8月18日 ページ作成・執筆