月宮よしと「怪談座頭市」(200円)



「享保二年(1718年)、近江の国。
 妻子を抱えながらも、浪人の身の三浦宗右衛門は、ふと立ち寄った茶屋で、女主人と按摩の老人の話を耳にする。
 話によると、按摩の市兵衛はかなりの金子を常に身に着けているらしい。
 宗右衛門は邪心を起こし、帰る按摩の後をつける。
 そこへ、雨が降り出し、宗右衛門は按摩を辻堂へ案内し、二人は雨宿りをする。
 人殺しなど容易にできないと宗右衛門はあきらめるが、市兵衛は最初から宗右衛門の魂胆を見抜いており、肩をもむふりをして、宗右衛門を扼殺しようとする。
 宗右衛門は市兵衛を振りほどき、彼を斬殺、死体は辻堂の床へと隠す。
 市兵衛の持っていた金を奪い、家に帰るも、その夜から妻のおさわが悪夢に苦しむようになる。
 それは、丑三つ時になると、奇怪な按摩が現れ、彼女の肩をもみ苦しめるというものであった。
 更に、人に洩らすと、命はないと脅され、医者にもかかれない。
 宗右衛門の妻は一週間のうちにたちまち衰弱し、身動きもできない病人となる。
 宗右衛門は妻からどうにか事情を聴き出すが、ふとしたことから、妻に市兵衛の幻影を視て、過って彼女を斬殺。
 しかも、妻の両手が彼の肩に食い込んでしまう。
 宗右衛門は妻を病死として葬式を出すが、市兵衛の呪いは、子供の弥生に伸びようとしていた…」

 なんちゅ〜か、主人公が気の毒な話です。
 怨霊になる按摩にちっとも同情ができないんですが…。
 祟るのなら、殺した張本人だけにすればいいのに、妻子といった弱い立場の人間を標的にするのが、陰湿過ぎです。(と、こんなケチをつけても仕方ないけども…。)

 ちなみに、これと原作を同じくする作品に、湧井和夫先生の「怪談めくら双紙」があります。
 「怪談めくら双紙」の方は原作(講談本?)に忠実で、「怪談座頭市」とはストーリーが異なります。
 「怪談座頭市」は、原作を脚色した小説、もしくは、月宮よしと先生のオリジナルではないか?と考えております。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け、かつ、痛み(特に裏がヨレヨレかつ汚れ)&背表紙上部欠損。糸綴じあり。最初のページ、最終ページ、後の見開きに貸本店のスタンプ押印。冒頭、シミひどし

2020年2月26日 ページ作成・執筆

東京トップ社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る