旭丘光志「恐怖人間」(220円/1966年夏頃)


 収録作品

・旭丘光志「恐怖人間」(1966年8月10日〜24日)
「夏、福岡県筑豊地方のある炭鉱町。
 東京に住む海彦は、おじの屋形大吉を訪ねる。
 その目的は、この町に住む亜矢に結婚を申し込むためであった。
 一年前、当地に滞在していた海彦は、ボタ山の崩壊で押し潰された家から、彼女を救出する。
 このことがきっかけとなって、二人は愛し合うようになり、一年後の再会を約束していた。
 だが、一年ぶりに会うおじ夫婦もその子供も、以前と変わらないのに、違和感がぬぐえない。
 それは亜矢も同様であった。
 そして、亜矢と散歩をしている時、半年前にできたという温室に気付く。
 温室には、今まで見たことのない植物が栽培されていた。
 その夜、従弟と風呂に入った時、従弟の背筋に奇妙な青い筋が走っているのを目にする。
 従弟に聞くと、誰の背中にもあるらしく、逆に、海彦の背中にないのを不審がられる。
 夜更け、亜矢が彼の部屋を訪れ、海彦にここから早く逃げるよう警告する。
 すでに、彼は町民によって見張られていた。
 こうなったら、逆に調べようと、海彦は監視の目をかいくぐって、逃走。
 まず、例の温室に向かうのだが…。
 この町に一体何が起こったのだろうか…?」

・笠隆雄(当時のアシスタントらしい)「俺と俺」
「試合に遅刻した選手。
 彼がベンチ入りしても、誰も彼の遅刻を気にしない。
 どうやら今の投手が大活躍で、七回までパーフェクトらしい。
 彼がその選手の顔を確かめると、それは…」

 「恐怖人間」は、旭丘光志先生が初めて描いたSF漫画とのこと。
 とは言え、SFに関する知識が全くなかったために、SFに詳しい友人に教えてもらったと、巻末の制作日記に書かれております。
 んで、ストーリーは、ジャック・フィニィ「盗まれた町」(その映画版が「ボディ・スナッチャー」)っぽいものです。
 かと言って、侵略SFと言うにはちとビミョ〜で、社会派の旭丘光志先生らしく、ラストは、ベトナム戦争の非人道的行為を折り込んで、人類の不寛容さを糾弾しております。
 SFホラーかと思いきや、作者の戦争への憤りを感じさせる作品でした。

・備考
 ビニールカバー一部、貼り付け。カバー貼り付け。幾つか目立つシミ・汚れあり(p20、ひどし)。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年11月20日 ページ作成・執筆
 

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