旭丘光志「死人の群れ」(220円/1966年7月28日完成)


 収録作品

・旭丘光志「死人の群れ」(1966年7月28日完成)
「写真家の玉井勝男は「週刊現実」の依頼で、恐山に心霊写真を撮りに来る。
 雨に降られ、彼は寺で雨宿りを頼み、そこで写真の現像をする。
 すると、謎の墓を写した写真に、多くの血にまみれた動物の死体が写っていた。
 寺の和尚に聞いたところによると、写真の墓は、戦争中に射殺された青森動物園の動物達の墓だという。
 和尚が止めるのも聞かず、彼は、寺にいた言霊霊媒(イタコ)の老婆に、写真に写っている動物霊を口寄せしてくれるよう頼む。
 イタコは彼の無理な要求を聞いてくれたものの、降霊中に発作を起こし、倒れてしまう。
 彼は東京に戻るが、次第に身体に異変が起こり始める。
 爪と牙が伸び、水中に長時間いても全く平気で、更に、垂直な壁でも移動ができる。
 実は、イタコが降霊したトカゲ(?)の霊が彼に憑依していたのであった。
 トカゲの霊は、動物達を射殺したハンターへの復讐を目論むのだが…」

・かさ・たかお(笠隆雄/当時のアシスタントらしい)「ボクサーの恐怖」
「ボクシングの試合。
 試合には目もくれずに、本を読んでいる男。
 彼は、第9ラウンドあたりから試合に熱中し始めるが、その理由とは…?」

 旭丘光志先生「死人の群れ」はタイトルからは想像がつかないでしょうが、「トカゲの霊にとり憑かれた男」を描いた、ゲテモノ・オカルト漫画です。
 最初の方でイタコや心霊写真の解説があり、かなり本格的だと思っていたら、後半は、トカゲ男・ハンター・イタコが入り乱れる壮絶なバトルとなって、スッチャカメッチャカとなります…。
 今読んでも、まあまあ面白い快作ではありますが、難点が一つありまして、それは主人公に憑依している動物が何なのかはっきりしないこと。
 タイトルページ(上中央の画像を参照のこと)ではトカゲのようですが、爪や牙を伸ばした、水棲のトカゲって、世の中に存在しているのでしょうか?(そして、そんなトカゲが戦前の動物園にいたのでしょうか? しかも、わざわざ恐山に連れて来て、射殺するなんて…。)
 正誤の程はわかりませんが、楳図かずお先生「半魚人」(1965年)の影響があるように私は推測しております。
 ちなみに、この作品には「亡霊の写真の写し方」が載っております。
 あとがきでは旭丘先生もご自身で試してみようとやる気まんまんですが、「なるべくなら新品(のカメラ)がいい」というのはハードル高いなあ…。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。

2021年5月9日 ページ作成・執筆
 

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