月宮よしと「冥途の飛脚」(190円/1963年頃?)

「宝永年間(1704〜1710)三月。大阪。
 ある朝、飛脚屋の亀屋の雨戸に鬼グモが五寸釘で打ち付けられていた。
 この知らせを聞き、番頭の忠兵衛は顔色を変える。
 忠兵衛は亀屋に奉公して三年、真面目な性格を御隠居に見込まれ、養子となり、女中のお京と来年には夫婦になる予定であった。
 その日は始終、忠兵衛は落ち着かない様子で、夜も、川辺で何やら考え事をする。
 お京は彼にどうしたのか問うていたところ、蟇六(ひきろく)という人相の悪い男が現れる。
 蟇六は忠兵衛を七三郎と呼び、殺そうとするが、返り討ちにされてしまう。
 実は、忠兵衛は浪人暮らしをしていた時、蜘蛛兵衛を頭とする悪党の仲間であった。
 だが、真人間になろうと思い、逃げ出して、亀屋に奉公したものの、遂に、その居場所を知られたのである。
 自首しようとする忠兵衛をお京は止め、二人は死体を埋める。
 その夜更け、昔の仲間の喜平太が忠兵衛の寝室を訪れ、すっぱり縁を切る代わりに、三百両を要求。
 背に腹は代えられず、忠兵衛は、友人の八右エ門の為替金を無断で借用し、明晩、蜘蛛兵衛の隠れ家に持って行く。
 ところが、八右エ門が金を受け取りに来たことから、忠兵衛は窮地に陥る。
 何とかご隠居はごまかしたものの、八右エ門に金の使いこみを知られ、更に、忠兵衛を救うため、お京が廓に身を売ってしまい、八方ふさがり。
 忠兵衛はお京をどうにかして、買い戻そうと考えるのだが…」

 「怪談シリーズ」と銘打ってはおりますが、「怪談」ではないです。
 タイトルは近松門左衛門・作の人形浄瑠璃ですが、ストーリーは全く違うようです。
 このあたりは全く知識がありませんので、詳しい方がおられましたら、ご教示いただけましたら幸いです。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票貼り付け。

2020年10月6日 ページ作成・執筆
 

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