しきはるみ「宇宙怪獣大作戦」(220円)



「アメリカの宇宙船が金星からの帰還途中、太平洋に墜落する。
 後日、藤本志朗という少年が海岸で謎の卵を発見し、家に持ち帰る。
 日を追う毎に、卵は巨大化し、二日後、卵から怪獣が孵化する。
 怪獣は、志朗を掴むと、羽を広げ、いずこかに飛び去る。
 自衛隊の懸命な捜索により、伊豆諸島付近の無人島で怪獣と志朗を発見。
 自衛隊のヘリコプターは彼を助けようとするが、怪獣の妨害にあい、断念する。
 だが、志朗は隙を見て、自力で島から脱出。
 自衛隊は、「ハバタゴン」と命名された怪獣を攻撃するが、全く効果がない。
 米軍の協力を得て、更に激しい攻撃を加える中、ハバタゴンは天を仰いで、大声をあげ続ける。
 すると、空からハバタゴンの母怪獣が舞い降りて来た…」

 しきはるみ先生の怪獣マンガと言えば、「恐竜娘」が有名ですが、今や見事なプレミアものとなってしまいましたので、持ってません。(フィギュアよりも復刻してくれよ〜!!)
 その代わりと言っては何ですが、「宇宙怪獣大作戦」を紹介したいと思います。
 一応、派手めの画像を掲載しておりますが、しきはるみ先生の作品ですから、作品から受ける印象はやっぱ「地味」です。
 だって、「人情もの(特に、継母絡み)」の名手である、しきはるみ先生が怪獣マンガを描いて、ダイナミックな作品になるワケがないじゃないですか。
 怪獣マンガの醍醐味は、都市をガンガン破壊しまくる「壊しっぷり」にあると私は考えておりますが、この作品では、無人島で一方的な攻撃を受けるだけなのであります。
 その代わりに、怪獣の母子の絆を描いていて、やっぱり、しきはるみ先生らしいな〜と思いました。
 また、ラスト、ベトナム戦争への言及があり、時代を感じます。
 戦争について「どちらかがあとにひけば解決する」との見解を示しておりますが(注1)、利害やプライド等、厄介なものが絡むと、ことはそこまで単純にはいかないのであります。

 んにしても、怪獣「ハバタゴン」は何を参考にして、描かれたのでありましょうか?
 肩甲骨あたりに翼が付いており、飛行が可能ですが、コマによって翼があったり、なかったりと、テキト〜なところも味があります。(どこに収納しているんだ?)
 また、凶暴そうな面に反して、作中では一切、建築物を破壊したり、人命を奪っておりません。(母ハバタゴンは攻撃機をかなり撃墜しておりますが。)
 本格的な怪獣マンガにしては珍しい、心優しい怪獣ではないでしょうか。

 この作品は、唐沢俊一氏より同人誌で復刻されているようです。
 ただし、私は未入手ですので、詳しい内容をお伝えできません。あしからず。

・注1
 「相手のない喧嘩はできぬ」と申します。
 しかし、私も、大勢と同じく、虚空相手に争ってばかりおります。
 まずは、真の敵を見極めるべきですが、アルコールで濁った頭ではまともな判断はできません。
 敵も味方もわからず、やみくもに喧嘩をふっかけて、混乱ばかりが膨れ上がっていきます。
 水木さんのお言葉「けんかはよせ 腹がへるぞ」はまさしく至言であると最近、感慨を深めております。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバーに多少の痛み。糸綴じあり。

2018年8月17日 ページ作成・執筆

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