池川伸治「私の地獄洞」(240円)

収録作品
・「私の地獄洞」(1968年12月16日完成)
「新井川時子が兄と住む安アパート、夕日洞。
大家のカネは稀に見る守銭奴であった。
時子はストレスのため、勉強がはかどらず、貸本屋で借りる推理小説に熱中する。
彼女が好んだのは江戸川乱歩で、特に「心理試験」という作品に夢中になる。
小説を読んで鬱憤晴らしをしている間は良かったが、ある日、決定的な事件が起こる。
台所の洗い場から水が漏り、修理をしてもらったところ、法外な金額を請求されたのであった。
そんな金を払う余裕はなく、このままだと出ていくこととなるが、その時、アパートに学生らしい青年が新しく入る。
彼の名は勝山勝三で、資産家の息子であったが、金も権力も嫌いという変わり者。
また、推理狂かつ「正義の味方」で、時子に大家のカネを殺すことは『善』だと主張する。
彼がアパートに入ってから、カネの時子兄妹への態度が打って変わって優しくなる。
勝三が時子の代わりに金を払っていたからだが、彼はカネのタンス預金を狙っていた。
ある土曜日、カネ以外の家族が出かけ、アパートの学生たちも家に帰る時を見計らって、勝三はカネを殺害すると時子に予告するのだが…」
・「赤い糸」
「正子は試験勉強のため、夜遅くまで勉強をしていた。
二時を回った頃、天井から赤い糸が降りてくる。
不思議に思い触ると、触った部分の皮膚が焼け焦げる。
彼女は両親を呼ぶが、家の中には人の気配がない。
弟のケン一のうめき声が聞こえ、駆けつけると、片腕が切断された死体があり、そのそばに赤い糸が下がっていた。
見ると、部屋中、赤い糸が垂れ下がり…」
唐沢俊一氏・監修「まんがの逆襲」にて紹介された「私の地獄洞」。
確かに大家の守銭奴ぶりには他に類を見ない迫力があり、「るさん・ちまん」を激しく感じさせます。(注1)
更に、ラストのどんでん返しも見事に決まっていて、佳作と呼ぶ価値はあると思います。
併録の「赤い糸」は動物パニックのものの短編で、蜘蛛嫌いにはたまらない内容となっております。
時代を差し引いても、トラウマ度は非常に高めで、個人的には、スティーブン・キング「霧」を思い出して、かなり鬱です。
・注1
今の時代になって、太陽プロに関する証言が次々と出てきました。
池川伸治先生はかなりがめつかったようで、単に「地」が出ただけの可能性もあります。。
・備考
ジャンクに近い。ビニールカバー貼り付け、それによる歪み。カバー痛みひどし。糸綴じあり。読み癖、非常に強し。「本の館コーヒーサロン」のスタンプがあちこちにあり。pp31〜34、ひどい汚れ。pp59・60、わずかにコマにかかる欠損。pp119・120、コマにかかる大きめの欠損。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とボールペンの落書き。
2024年12月28・31日 ページ作成・執筆