池川伸治「修羅美人」(220円)



「初音中学校。
 金子孝子のクラスでは、日本児童芸術祭にて発表する劇の配役が投票で選ばれる。
 だが、その投票の基準は、クラスで一番優しい人と意地悪な人であった。
 一番優しい人は金子孝子が、意地悪な人は西池光子が選ばれる。
 担任の女教師は、二人に「修羅美人」という劇の脚本を見せ、これが成功すればスターになれると励ます。
 劇は、孝子、光子の他に、川辺フジオ(注1)という美少年を加え、三人は稽古を積む。
 「修羅美人」の劇では、舞台はお邸で、孝子は金持ちの意地悪なお嬢さま、そして、光子とフジオはお邸の使用人。
 光子とフジオは愛し合う仲であったが、フジオに惚れた孝子が、光子に泥棒の濡れ衣を着せ、邸から追い出そうとする。
 それでも、愛する二人の仲を裂けないことを知り、孝子が光子に殺意を抱く、というのが大まかなストーリーであった。
 劇の練習は進み、クライマックスの、孝子が光子を殺すシーンも女教師は細かく指導する。
 そこで、孝子達は、女教師からこの殺人劇は実は「劇の中の劇」であることを明かされる。
 劇中の劇を使って、ある復讐がなされるというのが、「修羅美人」の本当の趣旨らしいのだが、女教師の思惑とは…?」

 ストーリーに大きな破綻はなく、それなりに読ませる作品です。
 が、個人的に、どうしても気にかかる箇所があり、評価はビミョ〜です。
 その箇所は、冒頭、ウルトラマンごっこをしていた男児がビルから墜落死するという、ショッキングなシーン。(右上の画像を参照のこと/「オヤ」という呟きが怖い)
 このシーン、全くストーリーと関係がありません!!
 まあ、貸本漫画は描きとばすことが多いので、後でストーリーに絡めるつもりで、すっかり忘れちゃってました…というパターンでありましょう。
 ただし、巻末には「漫画教室」のコーナーがあって、「どのようにして一冊の漫画を作製していったらいいのか」について講義しております。
 あの〜、こう言ってしまったら、元も子もないのですが、「ダメじゃん!!」
 まあ、厳しいことを書きましたが、この「おおらか」なところが好きな人もいると思います。
 あくまで個人的な意見ということで。

・注1
 高利貸しを主人公にした大ヒット作で有名な○○○先生の初期のペンネームです。
 まあ、ペンネームというより、本名に近いのですが。

・備考
 経年の痛みはあるが、状態はまあまあ。カバー若干痛みかつ裏にテープ補修あり。

2018年2月8日 ページ作成・執筆

東京トップ社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る