佐藤よしろう「皮と骨」(220円/1966年初頭)

「ウェールズ。
 ダービント伯爵は、十二世紀に造られた、広大な城に住んでいた。
 ある夜、ジャン・マローという男が城を訪れる。
 彼は、召使のライオナーを抱き込み、ダービント伯爵を地下牢に閉じ込める。
 マローの目的は、建築家のミカロンをそこに監禁することにあった。
 ミカロンは、多額の金額の絡む博物館建築に関する書類を持っており、その在処を白状させようというのである。
 マローにさらわれたミカロンは、足枷を付けられ、伯爵と共に地下牢で過ごすことになる。
 なかなか口を割らないミカロンに業を煮やしたマロー達は、食事を減らして、苦しめる。
 苦しむ彼に、伯爵は「藤の実一つで城をくずすことが出来る」と、食事の藤の実をレンガの隙間に落とす。
 四か月が過ぎた頃、マロー達は、伯爵を殺害し、ミカロンを孤独にさせることを思いつく。
 その頃、地下牢では、伯爵の顔が醜くただれ、数か月前のあの藤の実が巨大に成長し、地下牢は崩壊していく。
 ミカロンとダービント伯爵の運命は…?
 そして、ダービント家の宿命の秘密とは…?」

 佐藤よしろう先生の「スリラー・フィクション・シリーズ」の中で「餓死」と並んで最も面白いものだと思います。
 ストーリーは「地下牢からの脱出&復讐」ですが、脱出方法が荒唐無稽極としか言いようがなく、ここまで無茶だと逆に感心してしまいます。
 しかも、当時のマンガらしく、やっぱり巨大化する原因は「○○○」です。(「○○○X」(1954年/注1)とかありますよね。)
 また、ラスト付近、残酷描写がやたらキツイのも素晴らしい。
 トラップによる両足切断や犬に食い殺される描写等、やけに陰湿な雰囲気に溢れてます。
 とヨイショしてみましたが、冷静に判断した場合、やはりボロの多い作品ですので、あしからず。

・注1
 この映画の現タイトルは「THEM!」なのですが、ヴァン・モリスンが在籍していたバンド「ゼム」はここから取られたそ〜な。
 ヒット曲「Baby please don't go」はズバリ名曲です。(ただ、他の曲はちっとも聴いてません。ヴァン・モリスンの声質はあまり好みでないんです。)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み、かつ汚れあり。背表紙に破れがあり、上部の一部、下部に多くの欠損。カバー貼り付け。後ろの遊び紙に貸出票貼り付け。

2017年9月3日 ページ作成・執筆
 

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