谷ゆきお「歩く石像」(230円/1968年5月頃完成)



「天才彫刻家、加瀬邦夫が入水自殺をする。
 その法事に参加する面々は以下の通り。
 甥と姪の伸次と美和。
 邦夫の妹の京子。
 M市の市会議員である黒田俊平。
 美術大学の級友で、今は有名な彫刻家の林。
 叔父叔母にあたる大久阿芳樹とサワの夫妻。
 だが、黒田俊平は法事に向かう途中、交通事故を起こし、後に、邦夫が自殺した沼で死体となって発見される。
 黒田は邦夫の恋人を奪い、妻にしていた。
 一行が黒田の死体を取り囲んでいると、片目の老婆が現れ、この男は「石像のたたり」で死んだと話す。
 沼には邦夫の最後の作品である等身大の石像が設置されており、老婆はこの場所に近づかないよう警告する。
 その言葉を裏付けるように、駐在が石像の材料である白岩の下敷きになって死亡。
 この件で、彼らは参考人として、捜査本部の許しがでるまで村から出ることを禁じられる。
 犠牲者はこれにとどまらず、邦夫と因縁のある人々が次々と怪死していくのだが…。
 その陰で暗躍する男の正体とは…?
 そして、石像の秘密とは…?」

 葬式で死者と因縁のある人々が次々と殺される…という、よくあるタイプのミステリーですが、見せ場をちゃんと盛り込み、意外な要素も組み込んでますので、まあまあ面白いです。
 谷ゆきお先生らしく、残酷描写は派手なので、そこも嬉しいところ。(岩に串刺し等)
 でも、ラストの謎明かしに納得できるかというとぶっちゃけ、ビミョ〜です…。
 ちなみに、しのはら淳という方が制作チーフになっているためか、谷ゆきお先生の本来の絵柄と劇画調の絵柄が入り混じっております。
 漫画家としての生き残りをかけて、試行錯誤をされていたのでしょうか?

・備考
 状態悪し。Y文庫仕様(カバー裏に新聞紙等による補修。表紙を本体から取り外し、本体を何らかの厚紙で覆っている)。糸綴じあり。湿気による本体の歪み。後ろの見返しに貸本店のスタンプと書き込みあり。

2023年5月22日 ページ作成・執筆
 

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