三田京子「毒花と美少女」(220円)



 収録作品

・「毒花と美少女」
「かおりは、南の島で手に入れた種を花壇で丹精して育てる。
 その種はみるみるうちに成長し、奇妙な花を咲かせる。
 ある日、かおりが花を覗き込んでいると、その芳香に意識が飛んでしまう。
 気が付くと、彼女は見知らぬ野原にいた。
 先には、奇妙な家があり、美しい少年と少女が住んでいる。
 少年はかおりに好意を持っているようだが、少女は彼女に敵意を露わにする。
 突然、かおりの背後から何かひらひらするものが襲いかかり、かおりは無我夢中で逃げ出す。
 ふと気が付くと、かおりは庭の花壇のそばにいた。
 その夜、猫の悲鳴に目を覚ました、かおりが庭に出ると、先刻出会った少年が彼女を待っていた。
 少年はかおりにもう一度会うために来たのであり、家で一緒にいた少女とは何の関係もないと彼女に話す。
 だが、遠くには二人を見つめる少女の姿があった。
 この少年と少女の正体は…?
 そして、花の周りでは生き物達が次々と姿を消していく…」

・「燃えない振袖」
「佳夜は、昨夜の火事の焼け跡で、綺麗な振袖を見つける。
 こっそり持って帰り、部屋に飾るが、夜、寝ている間に、振袖はどこかに消えていた。
 あちこち探すが、どこにもなく、うとうとと寝入った隙に、振袖は元通りになっていた。
 同じことが夜毎、繰り返され、佳夜は振袖がどこに行ったか見届けようと見張るものの、うまくいかない。
 ある夜、佳夜の母親が振袖が飛ぶ様を目にする。
 母親によると、ボーイフレンドの雪夫の家の方に向かったらしい。
 佳夜が彼の家に駆け付けると、佳夜そっくりな少女が、雪夫と会っていた。
 振袖に込められた、ある少女の想いとは…?」

 記念すべき、三田京子先生の第一作目です。
 絵柄は、御亭主である松下哲也先生の「炎の少女は夜歩く」(貸本/ひばり書房)あたりに近いでしょうか。(個人的には、すっきりした絵柄で、後期の絵柄よりも遥かに好きです。)
 また、三田京子先生の強靭な個性は、第一作目から炸裂しており、「毒花と美少女」のテーマはズバリ、「人喰い花」。
 そこまで露骨ではありませんが、人肉料理の描写もあり、ラストはヒロインも食べられちゃって(画像を参照のこと)、トラウマ度は見た目より遥かに高めです。

 また、「燃えない振袖」は、ネタばれしますと、雪夫にフラれて自殺したブス女の霊が、振袖で佳夜に化けて、夜毎彼と逢瀬を重ねるという話です。
 普通なら振袖を供養するといった展開になるはずですが、この作品では、佳夜と雪夫は二人揃って、ブス女の霊を罵り倒すだけでなく、足蹴にしたり突きとばしたりとやりたい放題。(画像を参照のこと)

 んで、当然の如く、呪われて、ラスト、二人共、焼き殺されちゃうのでした。
 う〜ん、エキセントリック!!
 いやはや、まっこと、三田京子先生は三田京子先生以外の何ものでもありません。
 そのブレない個性に感服します。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。読み癖あり。全体的にシミ、汚れ、折れ、切れ多し。p9、コマ内に名前の書き込みあり。pp89・90、下部に大きな切れあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と鉛筆での書き込みあり。

2018年1月11・15日 ページ作成・執筆

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