望月みさお「山で死んだ人魚」(230円)



「富士市大淵近辺で本当にあった話(注1)。
 夏休み。
 母子家庭のとし江は、母親に無理を言って、海に行く。
 だが、海は大荒れで、とても泳げなる状況でない。
 それでも、とし江は海に入り、彼女を助けようと海に入った母親は波にさらわれて溺死してしまう。
 とし江は後悔に苛まされるが、彼女の嘆き声を、人魚が耳にする。
 とし江を哀れに思った人魚は、女神様に頼んで、自分を、とし江の母親に変えてもらう。
 ただし、女神は、人間に情を移すと、生命を失うと警告する。
 とし江は、母親と再会し、大喜びするが、死んだはずの母親が生きていたために、騒動になる。
 一度は海に戻った人魚であったが、とし江は病気で倒れているのを目にして、彼女を山にある家に運んで行く。
 しかし、村の人々に見つかり、またもや大騒動になるのであった…」

 「実話少女怪談」と銘打ってはおりますが、テーマが「人魚」ですので、ファンタジーなのであります。
 とは言え、「リトル・マーメイド」といった感じを期待すると、激しく裏切られます。
 一応は「ファンタジー」なのですが、望月みさお先生の手にかかると、常軌を逸した展開故に、「ファンタジー」とはまた違う何かになってしまっているのであります。(注2)
 とりあえず、私が知る中で、ここまで面の曲がった人魚はおりません。(トップレスなのに、ここまでエロくないのも凄いと思います。)



・注1
 作中で、「天照峡」というところに、人魚のミイラがあると書かれておりますが、どこなんでしょうか?

・注2
 まあ、「人魚」≒「リトル・マーメイド」という図式が出来上がってしまい、そのための偏見もありましょう。
 姫であろうが、なかろうが、所詮は「モンスター」に過ぎないと私は思っておりますが…。
 ちなみに、同じく、人魚を題材にした作品になぎさ洋「人魚の花嫁」というのもあります。

・備考
 カバーをセロテープにて固定しており、テープ痕あり。小口の底にゾッキ線?。

2020年2月10日 ページ作成・執筆

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