望月みさお「猫婆」(220円)
「深代エリの家族は皆、猫を嫌っていた。
ある日、家に迷い込んだ猫を表に放り出したところ、通りがかった白川由美がその猫を拾う。
家に連れて帰るものの、貧しい母子家庭では、猫のご飯もままならない。
そこに、猫婆のおしげが現れ、猫を由美から譲り受ける。
おしげは家に、飼い主のいない猫を大量に飼っており、「猫婆」(注1)と呼ばれていた。
由美と、妹のまりはおしげの家に遊びに行くが、猫達は二人の後について行き、よそで悪さをする。
深代エリの邸でも、猫は池の鯉を食べてしまい、エリの父親は猫を次々と射殺する。
また、エリの父親は、おしげが猫達を養っていることを知り、おしげを家から追い出そうと画策する。
そのために、彼は、おしげの家に石油コンロをプレゼントする。
その中にはガソリンが入っており、火を付けたとたん、爆発、おしげは焼死してしまう。
エリは、父親の非道な行いを知り、猫婆の家の焼け跡を前で悲しみに沈む。
そこに、おしげの幽霊が現れ、両親を「こわくないように」してくれると言って、彼女に何かの術をかける。
エリは家へと帰るが、深代家では怪猫が現れるようになり…」
望月みさお先生の得意ジャンルは、やはり「化け猫」!!
それに、味のあり過ぎる「老婆」が絡むと、その時点で名作確定です。
この作品は、古書ビビビの店主さん推薦の「猫かくし婆」ほどの爆発力はありませんが、なかなかの出来です。
ただ、この作品に出てくる猫婆は、極貧なくせに、猫をやたら集めて来て、近所に迷惑をかけており、あまり同情はできないかも…。
その婆様を家から追い出して、「トルコ風呂」を建てようとするヒロインの父親もかなりエキセントリックではあります。(家の敷地内とは言え、銃を乱射してます。)
・注1
この文章を書いている時、人から借りたものを自分のものにする「ねこばば」は、漢字で書くと「猫糞」だと知りました。
少し賢くなったばい。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。前後の遊び紙、ボロボロ。タイトルページと最終ページ、ノドにビニールテープによる補強あり。
2021年7月3日 ページ作成・執筆