いばら美喜「死に花」(220円)
・いばら美喜「死に花」
「高木初美は、父親と共に、生け花の発表会に出かける。
会場で、父親は、ある奇怪な花を目にして、顔色を変える。
その赤い花は植物でありながら、動物のように息づいていた。
彼が出品者に花のあった場所を尋ねると、戸沢山中で迷った時に偶然に見つけたという。
十五年前、戸沢山に珍しい花を育てている部落があると聞き、彼は妻と共に戸沢山に出かけた。
雷雨にあい、闇雲に歩いていたところ、偶然にその部落に辿り着き、荒れ寺に雨宿りする。
実は、その寺の尼僧こそが珍しい花を作った人物であった。
その夜、彼らは寺に泊まるが、翌朝、妻の姿がない。
尼僧によると、親戚に預けた娘を心配して一足先に帰ったとのことであったが、以来、彼の妻は行方不明のままであった。
父親は、妻の生死を確かめるために、戸沢山の部落を再訪することを決意。
同行を断られた初美は、友人の幸江の車で、父親をつける。
こうして、三人は部落にと入るが、そこには人の気配が全くない。
だが、あの寺の尼僧だけは、寺に住み続けていた。
尼僧の育てている花の正体とは…?」
「人喰い花」をテーマとした作品としては、「黒い花」(「オール怪談・35」収録)もあります。
「死に花」の方でも、植木バサミでの断首シーンがあって、「黒い花」よりもスプラッター。
ホームランコミックスの「黄金」にも収録されております。
・桜井昌一「恐怖荘」
「カッコつけたがりの天才音楽家、市田市彦。
彼は、妹の冴子の婚約者で天才ピアニスト、剣城幸夫のために、「地獄への招待」を作曲する。
剣城は、ピアノコンクールでこの曲を弾き、見事優勝、アメリカ留学のチャンスを得る。
アメリカの地で、剣城は数々の成功を収め、凱旋帰国するが、彼のそばにはアメリカ人の恋人がいた。
病身の市田は剣城に対して猛烈に憤り、剣城の結婚パーティの際、「地獄への招待」を弾いた後、青酸カリで自殺する。
恋人を失い、今度は兄も失い、冴子は屋敷に引きこもり、屋敷は「恐怖荘」と呼ばれることとなる。
ある夜、恐怖荘を剣城が訪れる。
アメリカ人の娘とは別れた彼は、今迄の非礼を冴子に詫びる。
そして、屋敷を去る前に、最後の願いとして、市田のピアノで「地獄への招待」を弾くことを望むのだが…」
「辰巳ヨシヒロマガジン」に描かれた作品のリメイクとのことです。
なお、目次では作者は直木征となっておりますが、直木先生の都合により、変更となったと後記に書かれております。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。読み癖ひどし。特に、いばら美喜作品のシミや汚れがひどくて、へこむ…。
2019年10月13日 ページ作成・執筆