「怪談・101」(220円)
収録作品
・いばら美喜「大学のお兄さん」
「桜井栄一は東京の大学に通う青年。
悩みの種は、先祖の埋蔵金を発掘することに血道を上げる父親と妹。
五年間で三千万円あった財産はいまや五百万円まで減るが、二人とも宝探しをあきらめる気配はない。
家の将来を考え、父親に発掘をやめてもらおうと栄一は思案に暮れる。
帰省した翌日、栄一が、町の古物屋で、宝の在り処を標した古図面が見つかったと、父親に知らせに来る。
父親はすぐさま古図面を持っている男と掛け合うが、男が提示した金額は、家の全財産、五百万円であった…」
「怪談・47」からの再録。タイトル・ページをご覧になりたい方はそちらへどうぞ。
・小島剛夕「能楽弱法師 夢幻の舞」
「将軍家観世流家元を父に持つ観世清十郎は、上覧能をめぐる日光観世流の三宅宗庵とのいざこざにより、破門の憂き目に合う。
しかも、清十郎に恥をかかされたと信じ、自害した宗庵の霊が清十郎にことごとく付きまとう。
しかし、宗庵の娘、利香と再び巡り合う事により、自らの真実を示し、宗庵の妄執を断ち切るを決心する。
清十郎は利香に、自分のつくった因縁の「弱法師」を日々教えるが、最後の日、清十郎は辻斬りの容疑で捕らえられ、利香に会う事ができなかった。
利香は自分の命を賭けて、「弱法師」を舞う…」
・関すすむ「絞首刑」
「定年間際の死刑執行人、前島。
彼は、仕事納めの際、死刑囚からカフスボタンを貰う。
そのカフス・ボタンから復讐を告げる声が聞こえ始め、前島はノイローゼ寸前になる。
前島は、錯乱している時に、過って同僚を殺害してしまい、逃亡するのだが…」
死刑判決をした裁判官や、検察官を恨むのならともかく、どう考えても、死刑執行人を恨むのは筋違いというものですが……まあ、世の中、そんなものかもしれませんね。
恐ろしく荒唐無稽な内容ですが、何も考えず、怒涛のジェットコースター的展開を楽しむが吉でしょう。
スパイものの風味を(全く意味がありませんが)小さじ少々振りかけてあるのも、味であります。
中表紙、目次ページのイラスト、いばら美喜「大学のお兄さん」が「怪談・47」からの流用です。
2014年4月28日 執筆・ページ作成
2016年8月16日 加筆訂正