「怪談・47」(170円)



 収録作品

・いばら美喜「大学のお兄さん」
「桜井栄一は東京の大学に通う青年。  悩みの種は、先祖の埋蔵金を発掘することに血道を上げる父親と妹。
 五年間で三千万円あった財産はいまや五百万円まで減るが、二人とも宝探しをあきらめる気配はない。
 家の将来を考え、父親に発掘をやめてもらおうと栄一は思案に暮れる。
 帰省した翌日、栄一が、町の古物屋で、宝の在り処を標した古図面が見つかったと、父親に知らせに来る。
 父親はすぐさま古図面を持っている男と掛け合うが、男が提示した金額は、家の全財産、五百万円であった…」
 「怪談・101」にて再録。

・小島剛夕「鈴の音」
「火急の用の為に早馬を駆っていた侍。  彼は、見通しの悪い山路で、巡礼の女性が崖から墜落するのを見殺しにしてしまう。
 任務を無事に果たしたものの、それから、良心の呵責に苛まされる日々を送る。
 心の苦しみが薄らいできた頃、巡礼の鈴が聞こえ、彼の前にその女性が姿を現す。
 彼は女性の亡霊から逃れるため、旅に出るが、鈴の音はどこまでも彼を追ってくる…」
 手塚治虫先生の「ザ・クレーター」の中の一編にもありましたが、過去に罪を犯した者が鈴の音に苦しむという話は、元話があるのでしょうか?
 それにしても、小島剛夕先生にしては、小粒の作品であります。
 ここには歴史的大ロマンも、運命に引き裂かれる男女の大悲恋も、愛憎渦巻く人間喜劇もありません。
 ここは一つ、小島剛夕先生にあまり見られない、甘ったるさを堪能すべきでありましょう。
 「オール怪談・83」にて再録されております。タイトル・ページをご覧になりたい方はそちらへどうぞ。

・古賀しんさく「ついに殺った」
「やくざから足を洗い、ふるさとに帰って来た青年。
 彼は、年老いた母の面倒を見ながら、荒れた畑や枯れかけた梨の木の世話に精を出す。
 そんなある日、家の裏に、見知らぬ老人が倒れていた。
 彼は老人を家で介抱するが、自分の身の上は一切語ろうとしない。
 ただ、自分には莫大な財産があり、死んだ時には、それを譲ろうと言う。
 堅気になった青年だが、莫大な遺産に目が眩んでしまい、畑仕事はおろそかになって、老人の死を待つようになる。
 しかし、ちっとも死にそうもないことにしびれを切らし、老人の食事に毎日少しずつ農薬をもるのだが…」
 タイトルでは、拳銃を片手に格好つけてますが、マンガの中では畑仕事ばかりやっておりまして……うん、ヘンな話です。
 元ネタは、ヘンリイ・スレッサー「親切なウェイトレス」(「ヒッチコック劇場」にて映像化された)でしょうが、アレンジ具合によって、他に似たものを挙げようのない、古賀新一ワールドになっております。
 「怪談・100」にて再録。タイトル・ページをご覧になりたい方はそちらへどうぞ。

・落合二郎「めくら船」
「北の国、滝見の庄の漁民達は、領主、滝見大膳の暴政に苦しんでいた。
 また、漁民達には、見ると目を潰される「めくら船」と呼ばれる幽霊船も恐怖の的であった。
 その間は漁に出れず、漁民達が怠けていると調査に出た役人も、両目を失った死体で発見される。
 ある嵐の夜、漁師の源次の息子、三郎太の枕元に老人が現れ、「めくら船」の秘密について語る。
 荒れ狂う夜の海に漕ぎ出た三郎太が「めくら船」で見たものは…?」

・備考
 カバーに少し痛み。背表紙上部の裏に補修のテープあり。糸綴じの穴あり。pp13・14(いばら作品)、引っかいて破れている。pp30・31(いばら作品)、何かが挟まり、ひっついて、剥がれた痕あり。pp44・45・47・68・69(小島作品)、目立つ汚れやシミあり。p93(古賀作品)、何故かコマの中に病院の名前と住所が書かれている。巻末と後ろの遊び紙にスタンプあり、また、後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年8月16日 ページ作成・執筆
2021年5月12日 加筆訂正

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