「怪談・41」(160円)



 収録作品

・いばら美喜「町はづれに住む男」
「あまりに醜い風貌のために、あちこちで爪弾きにされてきた乞食の老婆。
 その老婆を、町外れに住む男は家に泊め、親切にする。
 男も醜い容貌のせいで、世間に相手にされず暮らしてきたのだった。
 男の親切に感じ入った老婆は、隣町に住む孫娘を男に紹介しようと言う。
 その夜、美しい娘が男を訪ねてくる。
 二人は結婚し、幸せな家庭を築くのだが…」
 いばら美喜先生の作品としてはイマイチだと思うのですが、「怪談全集」(ひばり書房黒枠)に再録されております。
 また、「ヤングパンチA」(貸本/東考社)(注1)にも収録されておりますが、後記によると、台風のために原稿が遅れ、やむを得ず、絵をトレースしたとのことです。

・小島剛夕「かげ宿る花」
「孤児の玉緒は、あるお姫さまの側女として、何不自由ない生活を送っていた。
 幸せであるはずなのに、彼女は牡丹のように華麗に花咲きたいという欲望を抑えることができない。
 彼女はその欲望を押し隠そうとするが、抑圧された願望はもう一人の彼女の姿を取る。
 玉緒の嘆きをよそに、彼女は分身は彼女が真に望むものを手に入れていく…」
 ドッペルゲンガーものの佳作だと思います。
 女ってこわいよね…。

・落合二郎「冬のチューリップ」
「航空機製作所の主任、杉浦淳は、父親が植物学の大家であるにもかかわらず、チューリップを異常に嫌う。
 そうなったのは、試験機のテスト飛行の際、墜落するという事故を起こしてからであった。
 杉浦は無事であったが、テスト・パイロットは崖から転落死する。
 その事故のあった山で、真冬に、野生のチューリップが生えているという知らせが入る。
 杉浦は、新聞記者と共に、それを確かめに行くのだが…」
 構成に難があるため、ストーリーがわかりにくく、また、矛盾もあるので、失敗作だと思います。
 あと、絵柄は浜慎二先生の影響ありと見ました。

・古賀しんさく「母桔梗」
「両親を幼い頃に亡くし、母方の叔母夫婦のもとで暮らす美代。
 叔母夫婦は彼女を学校へもろくにやらず、家事雑用を押し付ける。
 愛に飢える美代は、桔梗の絵を見て、桔梗の花に母親の面影を重ねる。
 だが、薄情な叔母は、自殺した母親は前科五犯のスリだったと暴露。
 ショックを受けた美代は雨の中をとび出し、それがもとで病みついてしまう。
 衰弱していく彼女は、ある時、桔梗の絵から花の匂いがすることに気付く。
 いつの間にか絵の中に入った彼女は母親に会う…」
 幻想的な内容で、古賀新一先生が少女漫画を意識して描いた作品なのではないでしょうか?
 奇妙なユーモアをたたえた作風と違い、とことん、センチです。

・注1
 この単行本は、泉谷しげる氏のペンによる「わるい奴ら」が収録されていることで有名です。
 ハクダイさんによる激渋サイト「昭和マンガ研究サイト ハクダイのカカク」に詳しい記述があります

・備考
 状態悪し。カバー補修あり。p1、遊び紙にくっついて、一部剥げ、また、上隅、欠損。pp3〜6、落丁(カラーコピーあり)。

2018年5月23〜25日 執筆・ページ作成

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