曽祢まさこ「いつか誰かに殺される」(1995年11月13日第一刷発行)

 収録作品

・「いつかだれかに殺される」(「殺人事件」(1989年)掲載)
「自分の知っていることは、何でもかんでもしゃべり散らかしてしまう、トラブルメーカーの岡崎啓子。
 両親が留守で、自由を満喫する啓子のもとに、電話がかかってくる。
 受話器を取ると、「おまえのおしゃべりにはがまんできない 殺してやる」と男か女かわからない声が啓子に告げる…」

・「しのび寄る殺意」(「殺人事件 Part2」(1988年)掲載)
「のり子の彼氏は、マザコンが玉に瑕だが、容姿端麗かつ頭脳明晰な水沼貴征(みぬま・たかゆき)。
 貴征との母親とも良好な関係を持つことができて、のり子は幸せだった。
 しかし、デパートで眼鏡をかけた女性がスプーンを万引きする現場を目撃した時から、のり子の周りでおなしなことが起き始める…」

・「追いつめられて」(「ミステリーハロウィンA」(1989年)掲載)
「素行の悪さが祟って、幾多の女生徒から恨みを買っている加賀竜二。
 嫌がらせをしばしば受けているが、徐々に悪質さを増してくる。
 そして、その主犯格らしいのは、ジャンボというあだ名の大場靖子。
 大柄な身体を活かし、バレーボール部のエース格。明るくて、面倒見のいい人気者。
 靖子が機会あるごとに竜二を陥れようとしていると、竜二は周囲の人間に言うが、誰も信じてくれない。
 孤立したまま、竜二は追いつめられていく…」

・「鹿の住む里」(1987年「ハロウィンナイトNo.2」掲載)
「美人だが、他人の気持ちなど全くお構いなしの娘、姿子(すがこ)。
 彼女は、三年ぶりに、女友達二人と奈良を訪れる。
 三人は奈良観光に浮かれ騒ぐが、姿子は鹿が周辺に付きまとっているように感じる。
 その鹿は立派な角を持ち、姿子のいる所に現れては、彼女の様子を窺っているようであった。
 鹿は旅館の窓ガラスの向こう側までも現れるが、女友達はその鹿の姿を全く目にしていない。
 そして、法隆寺を訪れた際、鹿を目にした姿子は鹿から逃げ出すのだが…」

・「魔ヶ淵(まがぶち)の公園」(1986年「Me-twin 夏の号」掲載)
「第1話 砂場の怪〜女の子に意地悪をした男の子が一人砂場で遊んでいると…」
「第2話 何を描いているの〜公園で一人で地面に絵を描いている女の子。女の子の描く絵の秘密とは…?」
「第3話 ミッドナイト・パーク〜夜更け、プレイ・ボーイの青年に誘われ、遂に求婚に応じる娘。すると、彼女の前で、怪異が起きる…」
 テーマは「人喰い公園」(p191)で、もろストレートな怪奇掌編が三つ。
 レディース・コミック誌「Me-Twin」という雑誌に掲載されたという話ですが、レディース・コミックの要素はほとんどありません。(第3話にちょっぴり…。)
 理屈をこねず、「ただのホラー」(p191)であるところが、個人的には、いいと思います。

 「扉の向こうから…」(朝日ソノラマ/ハロウィン少女コミック館)から「鹿の住む里」「魔ヶ淵の公園」、「しのび寄る殺意」(朝日ソノラマ/ハロウィン少女コミック館)から、「いつか誰かが殺される」「しのび寄る殺意」「追いつめられて」が再録されております。

2016年3月28日 ページ作成・執筆
2017年11月3日 加筆訂正

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