原やすみ「怪談おんぼう娘」(220円)
「信子の家は資産家であったが、高利貸しの一家に土地屋敷を借金のかたとして奪われただけでなく、両親は殺され、彼女はその屋敷で下女としてこき使われていた。
下男の又さん(名前不明)は陰で彼女を助けるものの、高利貸し一家のいじめはエスカレートする一方。
ある日、主人は信子を「おんぼう沼」へ水汲みに行かせる。
おんぼう沼は毎日、どこかから水死体が流れ着くという、村人たちは決して近寄らない場所で、すぐ近くには落ちた者の死体は決して上がらない「死人の滝」もあった。
信子はおんぼう沼に着くと、喉の渇きに耐えかね、その水を飲んでしまう。
すると、沼から「おんぼう沼の精」が現れ、信子は許しを乞う。
深夜の十二時、おんぼう沼の精は信子の部屋を訪ねてきて、命を助ける代わりにある条件を出す。
それは「生きた人の目玉五組」を用意するというものであった。
そのために、信子は超人的な力を手に入れる。
彼女に助けられた又さんは高利貸しの夫婦、その息子の晴夫、夫婦の家来のお滝ばばあと熊じじいの目玉を奪うよう勧める。
だが、信子は晴夫に想いを寄せており…」
素晴らしい作品です!!
内容はC級もC級ですが、今の怪奇マンガが失った何かがここにはあります。(使い古された表現だけど、私の頭では他に表現が思いつかない…。)
後半、ヒロインが悪人の目玉を次々と抉り取っていく下りはゲテゲテしいながらも、妙な爽快感があります。(注1)
また、ヒロインがテンパると、脈絡のないポーズを取りまくっていて、殺伐とした内容に癒しを与えております。
個人的には復刻する価値があると思います。
・注1
眼球抉りの描写は好美のぼる・名義の「魚眼少女」(貸本/東京漫画出版社)や「眼裂け女」(笠倉出版社)にもあります。
・備考
ある親切な方から貴重な御本をお借りしました。本当にありがとうございます。借りたものですので、問い合わせをされましても、答えられないことが多いと思います。ご了承ください。
2024年7月25日・8月1日 ページ作成・執筆