「オール怪談・20」(150円)
収録作品
・いばら美喜「刺青(ほりもの)」
「人を殺すことに何の躊躇いもない殺し屋の男、辻勝美。
彼の父親、幹太郎は、名の知れた彫り物師だった。
父親が瀕死という話を聞き、男は家に戻る。
そして、父親が病身でありながら、銃で脅し、背中に刺青を彫らせる。
父親は息子に人殺しをしないよう臨終の言葉を遺すが、男は鼻にもかけず、死体をほったらかしにしたまま、立ち去る。
一週間後、傷が癒えて、包帯を外すと、刺青は、ターバンを巻いて、顎鬚を生やした、インド(?)の行者というものだった。
おかしな絵だと思いながらも、青年は次の殺しに取り掛かるのだが…」
「怪談・74」にて再録されております。
・佐藤よしろう「記憶の中の男」
「気が付くと、男は真っ暗闇の中にいた。
また、彼には自分に関する記憶が全くない。
暗闇の出口を探していると、いつの間にか、雨の降る、夜の有楽町に出る。
彼は、見覚えのある喫茶店に入り、考える。
すると、ふとしたことから、自分がバレリーナで、「魔の森」というバレエの主役であることを思い出す。
早速、レッスン場に出向くが、「魔の森」の主役は彼でなく、代役が立てられていた。
また、知人達は彼を見るなり、悲鳴を上げて、逃げ去ってしまう。
彼は徐々に記憶を取り戻していくのだが…」
・山下よしお「殺生石」
「高校浪人の英吉は、気晴らしのために、K温泉に向かう。
途中、彼は中村というハンターと出会う。
中村は白狐を撃ちはしたが、逃げられたところであった。
中村と別れ、先を行くと、山奥に家があり、そばの川で娘が洗濯をしている。
英吉は娘に水を所望すると、娘は彼に、水の入ったお椀を差し出す。
お椀の中の水には、何故か、娘の姿が映っていたが、英吉は大して気にもせず、水を飲み干す。
その晩、英吉が宿の温泉につかっていると、湯の中に昼間の娘の姿がある。
彼が訝っていると、娘は「あれからずーっと身体の中にいましたのよ」と彼に話す。
そこに、中村がやって来るが、彼は英吉の姿を見るなり、悲鳴を上げて、逃げ出す。
中村には、血まみれの白狐が湯に浮いているように見えたらしいのだが、娘の正体とは…?」
・多摩海人「恐怖の悪夢」
「里見太郎は、山で遭難し、動物の生肉を食べるうちに、吸血鬼になるという悪夢を見る。
翌日、彼は殺人事件に巻き込まれ、犯人と間違えられて、追われる身となる。
山に潜伏した彼は、悪夢と同じように、動物の生き血をすすり、生肉を食べ、吸血鬼へと変貌していく。
しかし、嵐で動物がいなくなり、彼は山を降り、知人を訪ねるのだが…」
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。前の見開きに紙を貼りつけ。
2019年8月15日 ページ作成・執筆