「オール怪談・23」(160円)



 収録作品

・いばら美喜「枯れ木」
「ある土地に立つ枯れ木は触ると崇りがあると言われていた。
 だが、木を抜かねば宅地開発ができず、現場監督の命令で人夫達は木の前に集まる。
 すると、木の影から粋な青年と着物姿の老人の親子が現れ、木に触らないよう警告する。
 現場監督は青年を力づくでどけようとするが、逆に殺され、人夫達も老人に皆殺しにされる。
 老人は病気のため、青年は一人で、この土地の所有者、黒崎社長のもとに向かう。
 青年は、木を残したままにするよう命ずるが、社長は拒否し、殺される。
 社長の息子は、青年の背中にナイフを突き立てるが、青年は平然と歩み去る。
 父親の仇を討つため、青年はダイナマイトを持って、木のある場所に行くのだが…」



・北風三平「RE型血液」
「ヒロポン中毒のチンピラ青年。
 彼は姉のつくった食事を食べてから、どうも調子が悪い。
 悪い仲間と金庫破りをするも、仲間が次々と変死する。
 仲間を殺したのは、彼の「血液」で、彼の皮膚からは血がにじみ出し、血は生き物のように動く。
 原因は、姉が料理で使った、肉の缶詰にあるようなのだが…」

・サツキ貫太「運河」
「毎朝新聞の水島記者は、非常に辣腕であったが、記事が煽情的で敵も多い。
 ある時、汚職事件で逮捕寸前だったT省の大物が建物の非常口から転落死する。
 死んだ人物の近くには、その場所のスケッチが落ちていた。
 また、高津という社長が死んだ時にも、その場所のスケッチを握っていた。
 しかも、そのスケッチは同じ人物の筆によるものらしい。
 水島は、先輩の美術評論家に絵を見せて、その画家を教えてもらうのだが…」

・古賀しんさく「奇妙な男」
「黒川という殺し屋のもとに、差出人不明の小包が届く。
 中には、仕事の依頼状と、仕事への報酬金。
 大金にも関わらず、この仕事は「一匹のカラス」を殺してくれという、変わった依頼であった。
 どんな奇妙な依頼でも、仕事は仕事。
 殺し屋は、依頼主の住所のK島に向かう。
 依頼人を探すが、住所は山の中で、家なんかない。
 そこに、依頼主が殺し屋の前に現れる。
 依頼主の男は、片目が潰れ、身体中が傷だらけであった。
 彼はこうなった経緯を説明するのだが…」
 「怪談全集」(ひばり書房黒枠単行本)に再録されております。

・備考
 カバー貼り付け、また、痛みあり。糸綴じあり。前後の見開きのソデ、紙テープで補強。pp9・10、pp19・20、pp27・28(いばら作品)、下部に大きな裂け。pp15・16(いばら作品)、下部にコマにかかる欠損。pp91・92(サツキ作品)、ページの半分が欠損。後ろの遊び紙に数字や名前の書き込みあり。

2021年8月26日 ページ作成・執筆

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