「オール怪談・27」(160円)



 収録作品

・浜慎二「閉じ込められた男」(目次では「とじ込め」)
「山中で遭難した青年、杉田。
 彼が灯りのある方向に向かうと、人骨が幾つか転がった先に、建物があった。
 扉の前で気絶した彼が目覚めると、中の一室に寝かされており、ベッドの前には片目の老人と数人の男達がいた。
 老人は彼に、この部屋から出ないよう命じ、明日には出て行ってもらうと言う。
 彼は興味を感じ、部屋から出てみると、地下から助けを求める声が聞こえる。
 地下に降りると、行き止まりに鉄の扉があり、男が一人監禁されていた。
 老人の仲間の男に青年は部屋に連れ戻されると、老人は、監禁されている男は、人間に化けた「悪魔」だと話す。
 夜更け、もう一度、青年は、監禁されている男のもとへ向かう。
 監禁された男は、自分は科学者で、いきなり拉致され、三年も監禁されたままと話す。
 男によると、午前二時〜二時三十分の間だけは皆、寝ているというのだが…」

・小島剛夕「暗殺者」
「幕末の京。
 勤皇の志士として、華々しい活躍に憧れ、田舎から出てきた三人の浪人が直面したのは厳しい現実であった。
 優れた腕を持ちながらも、彼らの活躍する居場所はなく、明日の食料にもことかくしまつ。
 そんな三人に古物商を営む張間堂という男が目を付ける。
 彼は三人に、大金と引き換えに、佐幕の人間の暗殺を持ち掛ける。
 金と名声と勤皇方への忠節のために、三人は張間堂に雇われ、暗殺者となる。
 だが、それには冷血無情な心が必要であり、心根の優しい高垣は罪の意識に苦しめられる。
 また、久部十太郎も自分の行為に疑問を感じるようになる。
 ただ一人、小笛千四郎は人を殺める欲望に目覚め、どんな相手かは関係なく、斬り殺していく。
 友人をも斬殺した千四郎の行く末とは…?」
 「オール怪談・71」に再録されております。
 再録の際に、冒頭4ページの加筆と、扉絵が描き直されているようです。



・北風三平「2人と2羽と」
「島と竹田は、違うボクシング・ジムに通っていたが、幼い頃からの親友同士。
 新人王決定戦を前に、彼らがいつもの森に、トレーニングで寄ると、島の肩に白いカラス、竹田の肩には黒いカラスが止まる。
 すると、木の背後に、黒い影のようなものが現れ、「白は幸福 黒は不幸」と告げ、二人はまたここにやって来ると言う。
 竹田は寝ぼけていたと気にしなかったが、新人王決定戦の最中、弟がバイクの事故で死にかけていると知らされる。
 これが彼の調子を乱し、彼は島に敗北。
 弟は死に、母親の洋裁店は破産して、家を失うという不幸続きに、竹田はヤケ酒を煽り、黒いカラスを銃で射殺しようとするのだが…」

・落合二郎「失なわれた町」
「松室産業の社長は、靴磨きの少年を養子にしようと考えていた。
 だが、ひいきの占い師によると、その少年は、戦争時代に大尉だった彼が犯した犯罪の復讐を目論んでいた。
 占い師は少年を「ハブク」よう勧めるのだが…」

・備考
 カバー痛み、袖や背表紙上部に欠損あり。一部、綴じ外れ。

2017年8月24日 ページ作成・執筆

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