「オール怪談・71」(220円)



 収録作品

・小島剛夕「暗殺者」
「幕末の京。
 勤皇の志士として、華々しい活躍に憧れ、田舎から出てきた三人の浪人が直面したのは厳しい現実であった。
 優れた腕を持ちながらも、彼らの活躍する居場所はなく、明日の食料にもことかくしまつ。
 そんな三人に古物商を営む張間堂という男が目を付ける。
 彼は三人に、大金と引き換えに、佐幕の人間の暗殺を持ち掛ける。
 金と名声と勤皇方への忠節のために、三人は張間堂に雇われ、暗殺者となる。
 だが、それには冷血無情な心が必要であり、心根の優しい高垣は罪の意識に苦しめられる。
 また、久部十太郎も自分の行為に疑問を感じるようになる。
 ただ一人、小笛千四郎は人を殺める欲望に目覚め、どんな相手かは関係なく、斬り殺していく。
 友人をも斬殺した千四郎の行く末とは…?」
 「オール怪談・27」からの再録です。
 再録の際に、冒頭4ページの加筆と、扉絵が描き直されているようです。
 目次の後の紹介ページをご覧になりたい方は、「オール怪談・27」を参照してください。

・福田三省「影と共に死す」
「江戸時代。
 様々な流派の剣の達人が次々と真剣勝負で命を奪われる事件が起こる。
 皆、一刀のもとに斬り殺されており、誰の仕業かさっぱりわからない。
 一刀流の師範代、清水は師匠から、この怪剣士の正体は小田切主水と教えられる。
 小田切主水は凄腕の剣士であったが、一刀流の「剣は心なり」という教えに反発して、道場を去っていた。
 町で小田切を見かけた清水は彼の後をつけ、その戦いぶりを目にする。
 あえて光を受けて立つ、小田切主水の剣の秘密とは…?」

・森由岐子「火の女」
「ハンサムだが、博打好きのやくざ者、新九郎。
 ある夜、彼は、若い娘をチンピラから助ける。
 娘の名は美弥といい、幼少の頃の病がもとで盲目であった。
 だが、両親が遺してくれた両親のおかげで、琴のお師匠をしながら、つつがなく生活を送っていた。
 新九郎は美弥の思慕に付け込み、彼女の財産を使い込んでいく。
 遂には、家屋敷まで手放した美弥が病気で倒れると、掌を返したように、新九郎は冷淡に扱う。
 しかし、情婦といるところを、美弥とその婆やに踏み込まれ、新九郎は一旦は美弥のもとに戻る。
 また元の鞘に収まったのかと思いきや、新九郎にはある悪辣な企みを胸に抱いていた。
 その企みとは、美弥を火付けの犯人に仕立て上げるというものであった…」

・関すすむ「名指し幽霊」
「ある長屋。
 葉煙草売りの新吉は、一年前に殺されたお福の霊が枕元に立ったと、大工の佐助に話す。
 新吉は、お福の妹のお光と夫婦約束した仲であるから、仇を取ってほしいと幽霊は訴えたとのこと。
 そして、お福殺しの犯人は、泉屋の若旦那、藤十郎と教えられたと言う。
 佐助の口からそのことが漏れ、藤十郎は捕らえられ、犯行を自供。
 しかし、当のお光は藤十郎はそんなことをする人ではないと断言する。
 更に、お光は新吉と夫婦約束をした覚えは一切ないとのこと。
 実際、佐助も幽霊を目にしたわけでなく、訝っていると、彼の前に、一人の侍が現れる。
 お福の幽霊の正体とは…?」
 ちょっとわかりにくい内容ですが、ストーリーは筋が通っていて、面白いと思います。
 私にはテキト〜なマンガの印象しかない関すすむ先生ですが、やれば出来るじゃん!

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年5月9・10日 ページ作成・執筆
2021年8月24日 加筆訂正

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