さがみゆき「奇理子の隠れ家」(220円/1966年5月12日完成)

「相原たけしは北海道に嫁いだ姉、民江を訪ねる。
 その途中、獲物を追う猟師を見かけるが、その猟犬を殺したのは、奇理子であった。
 奇理子は、姉が嫁いだ「メガネ」(名前なし)の連れ子であり、一年前に結核で亡くなっていた。
 奇理子はすぐに姿を消してしまい、たけしは奇理子への思いに耽りながら、姉の家を訪問する。
 たけしは姉に奇理子を見たと言うが、奇理子は一年前に死んでしまったという返事。
 しかし、何故か、たけしは自分が会った少女が奇理子であるとの確信が深まる。
 その夜、たけしは奇理子が生前好きだった曲が流れてくるのを耳にする。
 音をたどっていくと、離れの古びた部屋から聴こえてくる。
 その部屋のドアを開けようとした時、「メガネ」に制止される。
 奇理子は生きていると主張するたけしに、「メガネ」は言い含めるように奇理子は死んだと繰り返す。
 仕方なくベッドに戻るたけしだが、窓際に何者かの気配を感じる。
 カーテンを開けると、窓の向こうに奇理子の姿があった。
 たけしは逃げる奇理子を追い、離れの部屋に押し入るが、奇理子は様子は豹変させ、たけしに襲いかかる。
 奇理子に一体何が起こったのであろうか…?」

 名作です。
 黒枠では「奇理子の墓」、ヒバリ・ヒット・コミックスでは「夜歩く吸血少女」等のタイトルで何度も出版されておりますので、読まれた方、多いのではないでしょうか。
 ネタばれですが、結核で死んだはずなのに、生き返った後は、バタリアン顔負けのモ〜レツにワイルドになるヒロインって、ちょっぴり新鮮。
(荒唐無稽と言われれば、その通り…でも、そこがいいんだなぁ〜。←「魔女っ子メグちゃん」風)
 野原を獣のように駆け、生肉をガツガツ貪り喰らう奇理子さん…その雄姿にシビれてしまいます…。(BGMは Jeff Beck Group『All Shook Up』)
 ちなみに、この作品も単行本化される際に、大幅に加筆されております。
 一応、検証をしておりますので、こちらをどうぞ。

・備考
 I文庫仕様(カバー裏に新聞紙等による補修。表紙を本体から取り外し、本体を何らかの厚紙で覆っている)。背表紙色褪せ。糸綴じあり。p17、食べカス、ひっつき。pp21〜24、下部に折れ跡あり。

平成27年11月6・7日 ページ作成・執筆
2016年1月20日 加筆訂正

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