さがみゆき「奇理子の墓」(1973年2月20日発行)

「相原たけしは北海道に嫁いだ姉、民江を訪ねる。
 その途中、獲物を追う猟師を見かけるが、その猟犬を殺したのは、奇理子であった。
 奇理子は、姉が嫁いだ「メガネ」(名前なし)の連れ子であり、一年前に結核で亡くなっていた。
 奇理子はすぐに姿を消してしまい、たけしは奇理子への思いに耽りながら、姉の家を訪問する。
 たけしは姉に奇理子を見たと言うが、奇理子は一年前に死んでしまったという返事。
 しかし、何故か、たけしは自分が会った少女が奇理子であるとの確信が深まる。
 その夜、たけしは奇理子が生前好きだった曲が流れてくるのを耳にする。
 音をたどっていくと、離れの古びた部屋から聴こえてくる。
 その部屋のドアを開けようとした時、「メガネ」に制止される。
 奇理子は生きていると主張するたけしに、「メガネ」は言い含めるように奇理子は死んだと繰り返す。
 仕方なくベッドに戻るたけしだが、窓際に何者かの気配を感じる。
 カーテンを開けると、窓の向こうに奇理子の姿があった。
 たけしは逃げる奇理子を追い、離れの部屋に押し入るが、奇理子は様子は豹変させ、たけしに襲いかかる。
 奇理子に一体何が起こったのであろうか…?」

 貸本からの再録ですが、大幅に加筆されております。

「p8〜12(貸本でのカラーページの描きなおし(トレース?)、また、一部のセリフの削除)、p21(追加)、p50(追加)、pp54〜56(追加)、pp62・63(追加)、pp67〜69(追加)、 pp73〜81(追加)、p126(追加)、pp128〜166(追加)」

 50ページ以上も加筆されていて、なんかとってもお得な一冊。
 しかも、追加ページのほとんどが、ワイルドな奇理子さんの描写に割かれております。
 たけしに噛みつく奇理子さん、生肉を貪り喰う奇理子さん、「早すぎた埋葬」状態で半狂乱になる奇理子さん…そんな奇理子さんにメロメロです。
 また、後半には、奇理子の豹変ぶりの説明として、江戸時代のエピソードが持ち出されるのですが、これはあってもなくてもいいような…まあ、そういう感じです…。
 個人的には、全体的に描きなおして、もっと奇理子さんの暴れっぷりを見たかったものです。
 ちなみに、ヒバリ・ヒット・コミックスにて再録されておりますので、容易に読めます。

・備考
 下部に折れ痕あり(ページ数が進むにつれ、くっきりしてくる。)

2016年1月20日 ページ作成・執筆

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