杉戸光史「秘美子の秘密」(220円/1965~66年頃)

「河合江梨子は森の中で、棺に入った少女の死体を発見する。
 慌てて、ボーイフレンドの内藤信之を呼ぶが、二人が駆けつけた時には、棺は空っぽになっていた。
 それどころか、先程の死体の少女が木立の中から二人を見つめており、二人が彼女に気が付くと、少女は逃げ出す。
 少女を捕まえ損ねたものの、偶然にその場に立ち寄った桜小路美千子から彼女についての情報を得る。
 少女の名前は黒川秘美子といい、数日前に森の中の西洋館におじさんと二人で引っ越してきたが、あまりに陰気なので、死神少女とあだ名されていた。
 先程の事件は秘美子のいたずらと見做されるが、江梨子は死体が本物と信じ、不審に思う。
 以来、江梨子の飼い犬や美千子のペルシア猫が相次いで行方不明になる。
 江梨子は秘美子が怪しいと感じ、落とし物を届けることを理由に、彼女の家を訪れる。
 秘美子は江梨子を家に招き入れると、中は動物の剥製で溢れかえっており、メキシコ産の子供のミイラまであった。
 話は、剥製の話から、先日の棺の中の死体の件に移り、江梨子は秘美子の様子から彼女に秘密があることを確信する。
 帰る途中、江梨子は、秘美子が子供を誘拐しようとする現場に遭遇。
 秘美子の謎を暴くために、江梨子は夜、彼女の家に忍び込む。
 そこで、江梨子は秘美子の秘密を知るのだが…」

 ネタばれですが、「剥製にして、肉体を永遠に留めようと願う、マッドの少女」の物語です。
 似たようなテーマでは、同じく太陽プロの、さがみゆき先生の「神秘の扉がひらくとき」があります。
 杉戸光史先生も頑張ってはおりますが、如何せん、「急に地震が起こって、秘美子は生き埋め」というラストがあまりに御都合主義で、全てがブチ壊しなのが惜しいです。
 とは言え、全体的に丁寧に描かれており、ストーリーは(ラスト以外は)それなりに練られているので、まあまあ、楽しめるのではないでしょうか?

・備考
 ビニールカバー貼り付け、カバーに痛み。糸綴じの穴あり。見返しのノドに補強。読み癖がひどく、本編にシミ、汚れ、切れ、多数あり。p3、p5(共にカラーページ)に鉛筆による落書きあり。後ろの遊び紙に欠損と書き込みあり。

2018年3月12日 ページ作成・執筆

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