古賀新一「たたりの猫少女」(1983年3月15日第1刷・1985年7月15日第5刷発行)

 収録作品

・「たたりの猫少女」
「原由紀と喜代子の姉妹。
 彼女達の家には多くの猫が寄り集まるようになる。
 床下を猫達が出入りしていることを知り、喜代子は畳をのけて、床下を探る。
 そこには洞窟があり、昔、地獄絵師、良伯が地獄絵を描くために、猫を大勢、焼き殺した場所であった。
 そこで、喜代子は猫の群れに襲われ、重傷を負う。
 以来、喜代子は、焼き殺された猫達の怨霊に憑りつかれてしまう…」
 「ばけネコののろい」のリメイクです。
 ですが、ストーリーが相変わらず、まとまりに欠いているので、オリジナルの方がパワフルで面白いかもしれません。

・「たたりの蛇少女」
 「蛇少女」(「くらやみ」収録)を大幅に加筆訂正したものです。
 虐待される少年と蛇少女との心の触れ合いをストーリーの中心に据え、ハート・ウォーミングな要素もある異色作です。
 ただ、加筆があまりにやっつけ仕事でして、心温まるシーンと殺伐したシーンが無闇に絡み合い、成功作とは言い難いと思います。
 あと、主人公の父親のDV野郎ぶりはなかなかにヒドイです。(ラストは蛇少女に丸飲みされちゃいますが。)

 この単行本には二編収められておりますが、1960年代後半頃の短編のリメイクです。
 ただ、より洗練されたかと言うと、どうもイマイチ、ノリ切れてない感じ…。
 もしかすると、この頃、古賀新一先生はスランプ、もしくは、体調不良に陥っていたのかもしれません。
 次作「トロルド お母さんが怖い!」の発表まで、五年のブランクがありますので、可能性は高いとは思います。
(単に、旅行に行ったり、好きなことをして過ごしていただけなのかもしれません。詳しいことをお知りの方はご教示いただけますと、幸いです。)

・備考
 p56、汚れあり。

2018年3月29日 ページ作成・執筆

立風書房・リストに戻る

メインページに戻る