古賀新一「トカゲ女の子守歌」(1982年6月20日初版・1983年4月15日2刷発行)
古賀新一「影のすすり泣き」(1986年10月30日初版・1987年8月10日2刷発行)
収録作品
・「呪いの影がすすり泣く」
「スキーの事故で記憶喪失になった由香は、母親と名乗る女性に陰気な屋敷に連れて来られる。
由香の妹のつゆ子は美しい少女であったが、どこか様子がおかしい。
わけもわからず、自傷行為を働いたり、夢遊病者のように由香に襲いかかったりする。
そして、夜には屋敷の離れのお堂に閉じ込められてしまうのだった。
ある夜、すすり泣きを耳にして、由香がそのもとへ向かうと、一つ目の少女が由香に襲いかかってくる。
その少女は、つゆ子のもう一つの姿であった…」
さがみゆき先生の名作「鬼火の棲む家」を彷彿される内容です。
同じテーマを扱っても、調理方法が異なるところに、資質の違いが窺えて、興味深いです。
さがみゆき先生は、雰囲気を盛り上げていって、クライマックスを迎える「ミステリー」仕立てにしておりますが、古賀新一先生は有無を言わせぬショック描写の嵐で勝負です。
かなりトラウマ度は高いのではないでしょうか?
ラストは、今読んでも、なかなか怖いと思いました。
古賀新一「死人島にさく花は…」(ひばり書房黒枠)からの再録です。
・「トカゲ女の子守歌」(1967年「りぼん9月号」付録の「とかげ屋敷」が初出)
「高田村に避暑に来た、由紀とその父母、それに嬰児の妹のエミ。
高田村では、トカゲ病という不思議な病気が流行った過去があった。
由紀達が過ごす家の庭に、由紀が池をつくろうとして、木陰にあった墓を崩してしまう。
数日後、由紀は母親に頼まれて、エミを乳母車で散歩に連れ出す。
髪の毛に潜んでいたトカゲに驚いた拍子に、乳母車は暴走、崖から転落してしまう。
赤ん坊が海の藻屑となってしまったことに恐れ戦き、エミは家に帰れず、一人さまよう。
すると、公園にエミにそっくりの赤ん坊が捨てられていた。
母親は捨子をすっかりエミと思い込み、由紀は赤ん坊が捨子であることを言い出せなくなる。
しかし、この赤ん坊にはおかしなところがあった。
由紀の前では、言葉を喋り、トカゲのような容貌となる。
そして、この赤ん坊の毒牙に両親が次々とかかり、由紀は追い詰められていく。
壊した墓の祟りなのであろうか…?」
古賀新一先生の「乳母車が暴走し、崖から転落、その代わりにそっくりの赤ん坊が見つかったよ」という「チェンジリング」・ギミックの作品です。
「ふるえて眠れ」(ひばり書房黒枠)の第一話も同じ展開をしております。
・「吸血赤ちゃん」
「火葬場で働く、陰気な独り者の捨吉。
ある夜、彼のもとに鬼火とともに赤ん坊がやって来る。
この赤ん坊は、その日に焼いた女性のお腹にいたのであった。
女は独占欲が強く、女遊びの激しい夫に当てつけるべく自殺した。
赤ん坊は乳ではなく、捨吉の血しか吸おうとしない…」
・「たたられた病室」
「交通事故で顔と足に怪我を負った青年。
彼と同じような怪我を負って自殺した患者の病室に、彼は面白半分に泊まる。
夜、鈴の音とともに、レイ子という美しい女性が病室の彼を訪ねてくる。
美女とお知り合いになって有頂天になるのも束の間、彼は自分の顔の傷について真剣に悩み始める。
そこへ、突如、女医が現れ、彼の顔の手術をすると言う。
しかし、手術室で女医は彼の顔をメスで切り刻むのであった…」
・「首つり人形」
「雨の夜、彫刻家の青年のもとに現れた、美しい娘。
彼はその娘を像に彫るが、何故か醜い姿になってしまう。
そして、いつの間にか仕事場には首つり人形が残される。
青年は、彼が以前に化粧品のセールスをしている時に、化粧品を売ったことがあることに思い出す。
その後、娘は自殺したはずだが、娘は毎夜、青年のもとを訪れる。
そして、青年の彫る像はますます醜さを増していく…」
「猿少女」(ひばり書房黒枠)からの再録です。
2016年10月7日 ページ作成・執筆
2017年4月17日 加筆訂正