いばら美喜「どたん場」(200円/1964年頃)
「真砂市で興行中の、紅達矢と由美の属する金波サーカス団。
そこからほど近い海岸で、達矢と由美が息抜きしていると、丸山純子という少女が二人に話しかけてくる。
彼女の父親は十日前、黒い花びらの入った封筒を受け取ってから、急に一人で別荘のある島に行ってしまったのだった。
父親のことが心配な彼女は、達矢と由美がサーカス団員であることから、別荘がある島に付き添って欲しいと頼む。
達矢は少女の頼みを引き受け、達矢と由美、少女とその弟の四人はボートで島に渡る。
四人が別荘に向かうと、父親が縄で縛られ、監禁されている。
弟は父親のもとに駆けよるが、真上の穴からノズルが差し出され、硫酸を噴出、弟と父親は焼けただれて死亡。
残りの三人はその場から逃げ出すが、次いで、少女も硫酸の餌食となる。
達矢と由美はかろうじて島から脱出。
達矢は由美をサーカスに帰し、丸山家に行くが、住人はすでに硫酸で焼き殺されていた。
たった一人、虫の息の男性がおり、高島という人物にこのことを伝えるよう言い残して、息絶える。
達矢が高島の屋敷を訪れると、高島からことの事情を聞かされる。
三年前、丸山と高島がインドに仕事で行った時、その茎の汁を飲めば三百歳まで生きられると言う、黒い花の噂を聞く。
夜中に忍んで、黒い花の茎の汁を飲むが、その花はダラシン一家の持ち主であった。
花を全滅させられ、殺すと迫られた、丸山と高島はダラシンの一家に濃硫酸の入った瓶を投げつけ、大勢、殺してしまう。
そして、今、生き残りの兄と妹が、復讐のために、丸山と高島の家族を皆殺しにしようと狙っているのであった。
硫酸で殺され、達矢はダラシンの兄と対決するものの、いくら弾丸を撃ち込んでも死なない。
更に、ダラシンの兄は、ピリパという、人間の鼻や耳から入って心臓を喰い破る昆虫を目から放ち、警官達を全滅させる。
唯一人生き残った、高島の娘を守るため、達矢は、ダラシンの二人の後をつけ、彼らの秘密を暴こうとする。
ダラシンの兄が不死身の理由とは…?」
「渇いた影」もですが、いばら美喜先生は「インド」の要素が入ると、破天荒さが三倍満となるようで、ズバリ、この作品は傑作です。
インド人だからメチャクチャな設定でも構わないだろうと、おおらかな(失礼な?)精神に満ち溢れており、あまりに常軌を逸した発想の数々にフリーク・アウト必至です。
また、凶器が濃硫酸なために、ゴア描写は凄惨の一言。男女や老若に関係なく、片端から焼き殺していってます。(死体がまたグロい…。)
でも、濃硫酸を満タンにした、でかい壷を振り回して、迫るシーンは、どことなくマヌケですが…。(下右の画像を参照のこと)
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年4月26日 ページ作成・執筆