いばら美喜「渇いた影」(170円)
「時化のために、I国のD港へと寄港した、さくら丸。
そこへ嵐にも関わらず、若い娘が一人、ボートで船に向かって来る。
紅達矢が娘を助け出して、船に上げると、彼女は船員達にバラモンに気を付けるよう警告する。
バラモンは「ヒンズーの秘法を学んだ魔術師」であり、息子を殺された復讐のため、日本人を片端から殺害していた。
そこへ、早速、バラモンが現れ、「シェッ」を気合をかけると、瞬く間に二人の船員が肉塊と化す。
紅達矢はバラモンを銃撃するが、バラモンは素早い身のこなしで姿を消す。
娘はチベット人と父親と日本人の母親とのハーフで、母親を助けてくれるよう、紅達矢に頼む。
船長の許可が下り、達矢は娘と共にボートで港町に向かう。
だが、時すでに遅く、彼女の母親はバラモンの手にかかっていた。
更に悪いことに、時化で舵(かじ)が壊れ、修理に一週間、かかると言う。
そこで、殺される前にバラモンをやっつけるべく、達矢は娘と船員の三郎と共にバラモンの根城、チョモラリ(実在すんのか?)へと向かう。
途中、キャラバンを襲う強盗に三人は遭遇するが、強盗は三郎の兄で、バラモンの息子を殺した犯人であった。
深く悔いた、三郎の兄は達矢達に協力。
彼の案内により、達矢達はバラモンの本拠地、ポタラ宮殿の本拠を訪れるのだが…。
バラモンの秘密とは…?」
ミステリーマガジンシリーズの第六作目は、紅達矢がヒンズーの魔術師、バラモンと戦う話です。
舞台が外国(インド?)なだけあって、荒唐無稽さに輪がかかっておりますが、それでも、ガンガン読ませるのは流石の一言。
また、いばら美喜先生の豪快な人体破壊描写や残酷描写もこの回あたりから色艶が出てきたように思います。(あくまで個人の感想です。)
あと、バラモンの秘密は、タイトルの「渇いた影」と関連があります。
ぶっちゃけますと、楳図かずお先生の「ミイラ先生」と似たような感じです。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー背表紙裏の上下に補強あり。糸綴じの穴あり。前後の見返しのノド、補強あり。小口あたりからシミ(水濡れ?)が本文に染みてる。pp1・2、綴じから外れ。前後の遊び紙に書き込みあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年4月25日 ページ作成・執筆