月宮よしと「四谷怪談」(190円)



 大筋は、皆様ご存知の「四谷怪談」と一緒ですので、粗筋は割愛いたします。
 ただ、主人公の民谷伊右エ衛門とお岩の設定がかなり変わっており、「忠臣蔵」は全く関係ありません。(注1)
 ややこしいので、起った順に説明すると、
「寛文年間(1661年〜1673年)。
 民谷三右エ門の娘、おつなが、下男の伝助と情を通じ、妊娠。怒った三右エ門は娘を手討ちにしようとして、妻を斬ってしまう。
→おつなと伝助は下町の裏長屋で暮らすこととなるが、おつなの出産を間近にして、伝助は松平家に奉公に出る。
→松平の邸で、伝助は、高田大八郎という侍が、金貸しの伊勢屋重助を殺したことを知り、重助の死体を遺棄するのを手伝う破目となる。
→とりあえず、自分の家の押し入れに死体を隠すが、大八郎に殺された重助の妻が幽霊となって、伝助の家に現れ、おつなはショック死。(下の画像を参照のこと)その際に、産み落とされたのが、お岩であった。伝助は失踪し、お岩は民谷三右エ門が引き取る。
→一方、高田大八郎がどうなったかは記述がないので不明であるが、その子供が主人公の民谷伊右エ門。民谷伊右エ門は西国で強盗殺人の罪を犯し、江戸に逃げてきた不良浪人。
→伊右エ門はお岩のもとに養子に行くものの、義父の三右エ門に倅夫婦の仇であることがばれ、民谷家を出る。」
 ということになっており、この説明に約50ページ、費やしております。
 「四谷怪談」は様々なバージョンがあるようですが、この作品は何を原作にしているのでしょうか?
 また、この作品では、戸板返しのシーンはなく(そもそも、お岩は戸板に貼り付けにされない)、伊右エ門がお梅との披露宴で、お梅の一家を殺害した後、招待客の侍に斬殺されるという結末になっております。

 ちなみに、この作品、残酷描写はかなりの迫力です。
 冒頭からとばしてくれます。さすが、月宮よしと先生!!


・注1
 「四谷怪談」と「忠臣蔵」を絡ませた作品に、大石まどか先生「亡霊!四谷怪談」(立風書房)があります。
 良作です。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー、少し痛み。半世紀以上前の本であることを考えると、かなり状態よし。

2021年3月25日 ページ作成・執筆

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