望月みさお「クロよ恨みをはらして」(220円)



「石川県河北群にあったお話。
 ある日のこと、早苗とその母親は散歩中、暴走車に女の子が轢かれそうになる場面に遭遇する。
 母親がとび出して、女の子は間一髪で助かるが、早苗に車が突っ込み、彼女は左足に大怪我を負う。
 助けられた女の子は佐智という名で、母親と共に、早苗の見舞いに度々訪れるが、ヒステリーを起こした早苗に毎回追い返される。
 退院した早苗は松葉杖をついて、歩く練習をするものの、悪ガキ共にいじめられたりで、心の折れることばかり。
 そんな時、早苗は佐智が早苗の回復を願って、神社にお参りするところを目撃する。
 それでも、僻み根性の塊となった早苗は佐智を恨む気持ちが消えることはない。
 悲嘆に暮れる早苗は神社で白昼夢を見る。
 夢の中で、可愛らしい黒猫が、恨みを晴らしてあげましょうと早苗に話しかける。
 早苗が我に帰ると、夢の中に出て来た猫が彼女の前に現れ、彼女は猫を家に連れて帰る。
 早苗は猫にクロと名付け、佐智に復讐する機会を待つのだが…」

 望月みさお先生はかなりクセの強い絵柄でありますが、この作品は少女漫画風の絵柄で、親しみやすいと思います。(鼻の穴の描写はかなり省力されております。)
 ただし、ヒロインは被害妄想と自己憐憫の塊の、ヒス炸裂・少女ですので、感情移入は困難です。
 また、お得意の「猫」をテーマとした怪談なのに、「猫かくし婆」「怪談人間猫」といった、ハジけ飛んだ作品と違って、大して猫が活躍しないのも残念です。
 あまり印象に残らない作品ではないでしょうか?

・備考
 ビニールカバー貼り付けによるカバーの歪み。ビニールカバー剥がし痕あり(頑張って剥がしました)。糸綴じあり。pp37・38、下隅に小欠損(コマにはかからず)。前後の見返しの底に補強の厚紙貼り付け。後ろの見開きに貸本屋の紙の貼り付けとスタンプ押印。

2018年7月11日 ページ作成・執筆

東京漫画出版社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る