「怪談・55」(170円)
収録作品
・いばら美喜「ある遺伝」
「とある男の妻の家系には、ある年齢になると、顔がひび割れるという奇病があった。
しかも、発病する年齢は早まるばかりで、妻は悲嘆のあまり、自殺してしまう。
男は、まだ赤ん坊である一人娘の行く末を案じ、家に仕える爺やに頼んで、赤ん坊をよその赤ん坊とすり換えるのだが…」
「オール怪談・76」(ひばり書房)にて再録。
また、唐沢俊一氏・編『地獄で笑う男』で、復刻を読むことができます。
あと、雑誌でセルフ・リメイクしたバージョンもあります。
・小島剛夕「なにわ物語 雪の法善寺」
「自分の容貌に過度なまでのコンプレックスを持つお春。
彼女は、家の使用人の清吉に想いを寄せるが、自分の気持ちに素直になることも、彼の想いを受け止めることもできない。
そこで、彼女は法善寺の水かけ不動尊に、美しくなるよう、二十一日の願かけをする。
自分の恋を捨てることを引き換えに…」
「怪談・98」にて再録。
・北風三平「底」
「雪山で自殺を図った青年。
彼は、美しい娘に助けられる。
その娘の家は、雪の中の落ち窪んだ底にあった。
青年はそこから脱出しようとするが…」
安倍公房「砂の女」に「雪女」を絡めた佳作。オチも効いてます。
「怪談全集」(ひばり書房黒枠)にて再録。
・古賀しんさく「甦えった奴」
「ベッドで目覚めた青年。
彼は父親の死人を生き返らせる研究により生き返ったのだった。
そこへ父親を恐喝する男が現れ、その男から父親が研究のために人命を犠牲にしたことを聞く。
また、血のつながりはないが、青年が慕っていた兄が行方不明になっていたのだった…」
最後に、推測ですが、表紙はフランスのギャング映画『現金(げんなま)に手を出すな』が元ネタでしょうか?
とすると、左手の顔はジャン・ギャバン?
そして、炎に包まれているのは、リノ・バンチュラとか…?
・備考
ビニカバ貼り付け。糸とじの穴あり。背表紙上部破れ。しみ多し。製本上のミスにより、23・24ページが10・11ページの前に来ている。
62ページに人名の落書きあり(謎だ…何かの控え書きにでもしたのだろうか…でも、よりによって、小島剛夕先生のマンガにしなくてもいいじゃないか!!)
2014年7月8・9日 執筆・ページ作成
2017年10月16日 加筆訂正
2018年5月22日 加筆訂正