「ブラック怪談」(背表紙黒地にタイトル)(1973年10月31日発行)
「ブラック怪談」(背表紙白地にタイトル)(1975年7月15日発行)

・浜慎二「吸血少女」
「和子の小学校では、女生徒が襲われ、血を吸われるという事件が立て続けに起こる。
 校内での犯行でありながら、犯人はさっぱりわからない。
 和子は、最近、転校してきた水上という少女と一緒に帰ろうとすると、彼女の家に招待される。
 少女と召使の老婆だけが暮らす、薄暗く不気味な家、そのある部屋には老婆の絵が飾ってあった。
 その絵は、少女のおばあさんの絵ということだったが、血で濡れていた。
 また、和子は少女の写真を見つけるが、それはとても古びた写真だった。
 少女はおばあさんの写真だと言うが、あまりにも少女に似ている…」
 「怪談・87」(貸本/つばめ出版)収録の「灰色の少女」を改題したものです。

・山上たつひこ「獲物」(1967年10月31日完成)
「山奥の小さな分校。
 そこに勤める初老の教師は、生徒達に人体骨格の模型を買うことさえできない不遇を嘆く。
 ある雨の夜、彼の暮らす小屋に、絶好の「獲物」がとび込んでくるのだった…」

・小島剛夕「まぼろしの群盗」
「ある部落に半死半生で辿り着いた青年。
 彼は、うわごとのように「鬼が出た」と繰り返す。
 村人達は彼に食事を与え、話を聞くと、青年は小弥太と言い、茜という女性と駆け落ちして、都を目指していたと言う。
 しかし、途中、小弥太はマムシに噛まれ、荒れたお堂にて身体を休める。
 茜の心からの看病が功を奏し、小弥太は一命を取り留めるが、その夜、鬼が現れる。
 小弥太は抵抗しようとするが、病み上がりの身の上、力及ばず、茜は鬼にさらわれてしまうのだった。
 そのことを悔やみ、小弥太は幾日も嘆き暮らすが、そんな小弥太を庄屋の娘が見初める。
 二人は愛を育み、祝言をあげることになるが、その頃、「風の様に押し入って、風の様に音もなく去ってゆく」風盗の噂が村で囁かれるようになる…」
 「今昔物語」から採った話だそうです。
 小島剛夕先生とつながりの深い白土三平先生も「鬼」(1963年)にて同内容で描いておりますが、個人的には、小島剛夕先生のバージョンの方が好きです。
 「怪談・78」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・いばら美喜「眼には眼を」
「あるバス停に降り立った、サングラスをかけた男。
 彼の眼は邪眼であり、彼の眼を見てしまうと、その者の目は潰れてしまう。
 彼は東京観光に来た際に、彼のために失明した女性を空き地に呼び出す。
 彼は両親の呵責に耐えかね、家を売った金を持って、謝罪をしに来たのであった。
 待ち合わせの空き地に、サングラスをかけた女性とその弟が現われるが…」
 「オール怪談・38」「オール怪談・75」(貸本/ひばり書房)からの再録。

・古賀新一「海底の美女」
「魚類の研究だけが生きがいの青年。
 女性には全く無関心で、一人で気ままに暮らしている。
 ある日、珍しい魚を求めて、海に潜った時に、女性の水死体を目にする。
 それ以降、彼はおばの勧めに応じ、見合いをするが、彼と見合いをした女性が次々と行方不明となる…」
 普通に考えたら、ありえない話なのであります。
 が、古賀新一先生の手にかかると、荒唐無稽な話でも、マンガとして成立するのが、実にマジカル。
 オチも皮肉が効いていて、ブラック・ユーモアな佳品と言えるでしょう。
 ちなみに、タイトル表紙の女性は、バーバラ・スティール(「血塗られた墓標」)でしょうね。

・古賀新一「闇」(後期の「ブラック怪談」のみ収録)
「落盤により、洞窟に閉じ込められた男性とその妻、そして、二人の親友である由実。
 男性と由実は愛し合う仲でありながら、周囲の反対もあり、現在の妻と結婚したのであった。
 以来、由実は二人の友人として、慎ましく、また誠実に付き合ってきた。
 そして、今、三人は闇の中で虫けらのように死んでいこうとしている…」
 何故か後期の「ブラック怪談」(背表紙白地にタイトル)のみに収録された、10ページほどの小品。
 内容は、子供向けとは到底思えない、ヘビーかつアダルトなものであります。
 いまだ復刻されていないらしく、そのため、後期の「ブラック怪談」は高価かつ入手困難なものとなってしまいました。
 マンガにプレミア価格をつけてどうのこうの騒ぐ前に、優れた作品はどんどん復刻していって、多くの読者が目にすることができるようにして欲しいものです。
 それが可能な時代なのですから。

「ブラック怪談」は、実は、大半が「こわい怪談@」(貸本/ひばり書房)からの流用であります。
 池川伸治先生の「殺してしまえ」が削られて、いばら美喜先生の「眼には眼を」と古賀新一先生の「海底の美女」が加えられております。
 ちなみに、手持ちの「ブラック怪談」(後期)には、印刷ミスがありまして、「眼には眼を」の中に「殺してしまえ」のページが紛れ込んでおります。(pp140・141)
 前期の「ブラック怪談」にはそういうことはないので、古賀新一先生の「闇」を加えたために、そういうミスが起こってしまったのかもしれません。
 推測の域を出ませんが、まあ、何と言うか、ひばり書房らしい話ではあります。

・備考
 後期の「ブラック怪談」のカバーの後側上部に折れ痕あり。カバー背表紙、上部に破れあり。小口のシミ、ひどし。

2015年8月25日 ページ作成・執筆
2017年10月20日 加筆訂正
2018年10月8日 加筆訂正

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