橋本将次「断末魔/雷ゴロちゃん」(2024年8月10日発行)

 収録作品

・「断末魔」(つゆき・サブロー「寄生人」(兎月書房)より)
「秋。あるデパートの屋上。  若い女性が置かれていた双眼鏡を覗くと、双眼鏡から針がとび出て、即死する。
 この猟奇殺人の犯人は犯罪心理学者の木島で、彼は完全なキチガイであった。
 木島の次の犠牲者は…?」

・「呪われた子孫」(谷川きよし・名義/「怪談石子詰」(兎月書房)より)
「推理小説家の大月は、屋敷の主人がヨーロッパ旅行の間、そこを借りる。
 ある夜、彼が執筆していると、何ものかに首を絞められ、後に引きずられる。
 振り返っても誰もおらず訝っていると、笑い声が聞こえるが、それは鏡の置物からであった。
 鏡の中には落武者のような髪型の男が映っており、百五十年前に殺された下野の国羽仁村の次郎と名乗る。
 次郎は自分の肉体は恵林寺にある墓の下でミイラになっており、それを掘り出し、また、その際にはこの鏡を一緒に持って行くよう頼むと、鏡から姿を消す。
 大月は次郎に頼まれた通り、恵林寺に行き、次郎の墓を掘り返すと、ミイラが出てくる。
 ミイラは寺の中に安置され、翌日東京に運ぶ予定であったが、大月の持ってきた鏡がミイラのもとへ飛んでいき、ミイラは復活、行方不明となる。
 五日後、東京にいる大月のもとにミイラが現れる。
 ミイラは自分たちの一家を皆殺しにされた復讐のために星野村の名主、徳兵衛を殺そうとしていた。
 大月は徳兵衛はもう死んでいると言っても、ミイラは聞く耳を持たない。
 ミイラは徳兵衛の墓を暴き、次にはその子孫に魔手を伸ばす…」

・「雷ゴロちゃん」(橋本将治・名義/兎月書房)
「雷ゴロちゃんはミサイルや死の灰に腹を立て、悪い人間を退治するため、人間界へと降りる。
 彼の武器は父親からもらった「へそ」で、これを食べれば、スーパーマンよりも強くなる。
 雷おこしの箱で川を流れ、子供のいない老夫婦に拾われたゴロちゃんは早速、悪人のたくさんいる大都会へと向かう。
 道中、カッパの三吉、狸のポン太、カラスのカン公を味方にして、ピン子という少女をチンピラから救う。
 また、「オンボロ部落」の人々に乞われ、山勘というヤクザの一味と対決。
 雷のゴロちゃんの活躍にどうかご期待ください…」

 「怪奇貸本奇談シリーズ」も八年目で、20冊を迎えました。
 心よりお祝い申し上げます。
 んで、記念すべき20冊目はお馴染みの橋本将次先生です。
 有名な「断末魔」は初めてちゃんと読みましたが、50ページにも満たない内容に拍子抜け。
 リメイク版の北杜太郎「江戸断獄記」(太平洋文庫)の方が残酷描写が多くパワフルだったので、物足りなく感じました。
 ただし、「断末魔」は徹底してドライなところが最大の魅力。
 イギリスの猟奇スリラー(らしい)「黒死館の恐怖」の影響を受けているはずなので、映画と見比べてみるのも面白いかもしれません。(すみません、いまだに未見です…。)
 そして、最大の目玉は、まさかのギャグ漫画「雷ゴロちゃん」。
 ヘソから気が抜けてしまうような内容で、脱力しながらも、最後まで読ませてしまうのは流石の一言!!
 橋本将次先生に斯様な才能があるなんて想像もつきませんでした。
 やっぱり、関西人(大阪出身)だからなのでしょうか?

 付録ペーパーには國澤博史氏による「私が偏愛する橋本将次作品」が掲載されております。

2024年10月18日 ページ作成・執筆

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