杉戸光史「骨と奇少女」(220円/1966年6月6日完成)
「スリラー漫画の読み過ぎで頭のおかしくなった亜紀子は、湖のそばの、静かな別荘で休養することとなる。
その別荘には半年前まで、夭折した天才少女作家、沢野真理子が住んでいた。
別荘での初めての夜、亜紀子は、謎の女が少女を刺殺する場面を鏡の中に見る。
だが、亜紀子の言葉を誰も信用せず、謎の女は鏡から脱け出ては、亜紀子の命を狙う。
亜紀子は、鏡の女の似顔絵を描き、双子の姉、千恵子へ手紙を出そうとするのだが…。
鏡の女の正体は…?」
ヒロインが「スリラー漫画の読みすぎで、少々頭の変になった少女」という設定が斬新です。(注1)
ただ、読んだ感じでは、「頭が変」と言うより「短絡的」で、いきなり鏡に壺を投げつけたり、墓を暴いて棺桶をつるはしで破壊したりとなかなかエキセントリック。
そんな感じなので、当然、何を訴えても、誰も信じませんが、何かあまり同情できません。
また、鏡の中に住む女という発想はまあまあうまく扱えてはいるものの、鏡の女に殺される少女の説明がラストで付け足しで説明されるのはいただけませんでした。
鏡の女の恋人もよくわからないキャラで、いろいろとさっぱりしない内容です。
ひばり書房の黒枠単行本の「恐怖の蛍ごけ」にて、ページの削除や描きなおしをして再録されております。
・注1
スリラー漫画の読み過ぎでおかしくなったと言えば、さがみゆき先生の「ほくそ笑む少女」(貸本/ひばり書房)などもあります。
太陽プロの周辺にはそんな人が多かったのでしょうか?
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み、糸綴じあり。カバーの袖に名前記入。後ろの遊び紙に貸出票(?)の貼り付けあり。
2024年5月7日 ページ作成・執筆