望月みさお「霊媒尼さん」(220円)
「継母だった外山たまみは、前妻の子、さち子を井戸に突き落として殺害。
事故死に見せかけるが、さち子が幽霊になり、たまみの娘、のり代にとり憑く。
さち子の幽霊は、継母の犯罪を明かし、のり代をあの世へと連れて行ってしまう。
深く反省した、たまみは自首し、五年の懲役を受ける。
服役中はずっと、さち子の冥福を祈り、恨みが晴れたのか、服役後は、リカという女児にも恵まれる。
しかし、それから十年も経った頃に、さち子とそっくりな幽霊が出るという噂が流れ、たまみは心配に駆られる。
ある日、外山家の人々の前に、さち子の幽霊が再び現れ、一家は大パニック。
さち子の怨念はまだ消えていないようで、今度はリカがその命を狙われる。
そこに現れたのが、神天という尼僧であった。
神天は、このままではリカの命が危ないと、お祓いをすると話す。
だが、これには恐るべき企みが隠されていた…」
貸本漫画には、あくどい銭目当ての新興宗教を扱ったものが幾つかありますが(注1)、この作品では「インチキ霊能力者」が出てきます。
尖がったテーマに加え、尼さんというのが実にマニアック!!(注2)
ただし、実際問題、この方法でだませるかと言うと、心もとない感じで、ストーリーに説得力に乏しいのが、とってもイタいです。
あと、望月みさお先生お得意のトリッピ―な描写が少ないのも残念…。
「UA!ライブラリー」にて、「母子ゆうれい」とカップリングで復刻されております。
復刻本は容易に入手できますので、興味のある方はどうぞ。
・注1
池川伸治先生「拝み屋太郎」(佐藤プロ)や、森由岐子先生「魔神の巫子」(東京漫画出版社)等。
・注2
数は少ないですが、尼僧を扱った貸本漫画に、松下哲也先生「怪談尼僧ざんげ」があります。
他にもあったような気がするけども、思い出せない…。(三田京子先生「恐れ島の美女」はどうだろう?)
・備考
ジャンク。ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じの穴あり。本文、シミ、汚れ、裂け、小欠損多し。pp127〜130、落丁。後ろの見返しに貸出票の剥がし痕あり。
2021年6月6・7日 ページ作成・執筆